2014 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブルエレクトロニクスに資する表面歪みゼロフィルムの創製
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25620170
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宍戸 厚 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (40334536)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フィルム / グレーティング / 表面 / 歪み / フレキシブル |
Outline of Annual Research Achievements |
生体に優しいフレキシブルなデバイスの実現を目指して,フィルムの湾曲に伴う表面の膨張に対応できる伸縮可能な導電性材料やセンサーの開発が活発である。しかしながら,多くの場合数%の膨張歪みで破断してしまう。 本研究では,高伸縮可能な物質デバイスを作るのではなく,これまで見過ごされていたフィルム基板の湾曲に伴う膨張収縮に着目する。湾曲しても表面が膨張しない歪みゼロフィルムを設計・創製することにより,幅広い高性能物質をフレキシブルエレクトロニクスへ適用可能となり,研究分野進展に大きく貢献できる。さらに,材料の柔らかさや伸縮を三次元的に精密制御できる材料の創製が実現し,他分野への波及効果も大きい。 本年度はPDMSの積層フィルムを調製し,曲げに伴う表面歪みを解析した。波長633 nmのヘリウムネオンレーザー光を自動精密ステージ上に搭載した試料フォルダーに設置したフィルムに入射した。フィルム表面に記録したグレーティング光からの透過光および回折光をスクリーン上に投影し,CCDカメラで距離を解析し,回折角を見積もることにより,回折角から表面の周期を評価した。単層フィルムの曲げによる表面歪みでは,中立面が中心部に存在する対照的な表面歪みが観測されたのに対して,硬さの異なる二層のPDMSフィルムでは,表面収縮と表面膨張は非対称となり中立面が中央からシフトすることが明らかとなった。外側に硬い層を積層したPDMSフィルムでは,単層に比べて曲げによる膨張を抑制できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層フィルムの曲げに伴い,表面の膨張が抑制されることが明らかとなったため,研究はおおむね順調に進展している。一方,見いだした特異な湾曲挙動解明のため今後の研究計画には変更を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
見いだした特異な挙動解明のためさらなる解析システム高精度化を検討する。具体的には,ソフトウェアおよび光学系の改良により,測定のばらつきを低減する。また,サンプルホルダー部の構造により,湾曲時におけるフィルム形状の画像品質が大きく異なることが明らかになりつつある。ホルダー部の構造を見直すことで,画像品質の構造による計測の精度向上を図る。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が発生した状況) フィルムの湾曲に伴う表面歪みを計測できる解析システムの構築に成功し,単層フィルムの歪みの計測を行ったが,その過程で特異的な膨張収縮挙動を見いだした。そこで計画を変更し,得られた結果の解析および再現性確認に時間をかけて取り組んだため,次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(次年度における未使用額の使途内容) そのため,見いだした特異な挙動解明のためさらなる解析システム高精度化,学会等での発表および論文発表を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充当する。
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