2013 Fiscal Year Research-status Report
パターン転写を志向した超強偏析系微細ナノ構造体の構築
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25620172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野呂 篤史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90377896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / 複合高分子 / 強偏析系 / ナノ相分離構造 / パターン転写 / ミクロ相分離構造 / 超強偏析 / 酸塩基錯形成 |
Research Abstract |
平成25年度では微細ナノ構造体を作製するために強偏析系ブロック共重合体の合成に着手した。 親水性ではないもののアミノ基を有するポリ(アクリル酸ジメチルアミノエチル)(PDMAEA)と疎水性のポリ(4-tert-ブチルスチレン)(PtBS)は強偏析系であると予想し、これらのポリマーからなるジブロック共重合体の合成を試みた。ポリマーの合成には可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法を用い、キャラクタリゼーションには核磁気共鳴法(NMR)とゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた。PDMAEAの重合度が10程度、PtBSの重合度も10程度のPDMAEA-PtBSブロック共重合体を得た。 得られたブロック共重合体試料を溶媒に溶解し、溶媒キャストを行い、さらにアニール処理を行った。この試料をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームで切り出した試料を銅グリッド上に載せ、ヨウ素蒸気を用いてPtBS成分を染色した。透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、ラメラ状ではないもののおおよそ10nm周期の乱れた構造が見られた。さらに小角X線散乱測定を行ったところ、散乱ベクトル位置で0.5 nm-1程度の位置にブロードなピークが見られた。これはPDMAEAとPtBS間の電子密度ゆらぎに由来する相関空孔ピーク、もしくは乱れたナノ相分離構造に由来するピークであると考えられる。より強偏析なポリマーペアを用いることで規則的な微細ナノ構造が得られるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強偏析系のブロック共重合体を合成しそのナノ構造観察を行ったことにより、微細ナノ構造を得るためにはどのようなブロック共重合体を合成すればよいのかの目途が付いた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた実験結果を参考にして、①微細ナノ構造を発現すると考えられるブロック共重合体を合成する、②合成したブロック共重合体からキャスト膜を作製し、そのナノ構造観察を行う、③さらにそこで得られる結果をもとに再度ポリマーペアを再考する、という①~③実験サイクルを繰り返すことにより、規則的かつ周期的な微細ナノ構造を発現するブロック共重合体を探し当てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学内での公務により出席を予定していた学会に参加できず、その分だけ旅費を使用することがなかったため。 また当初の予定よりも消耗品費が少なく済んだため。 平成26年度は研究課題の最終年度であるため、成果発表の機会が多くなると考えている。平成25年度で生じた次年度使用額については成果発表のための学会、シンポジウム等の参加費用として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)