2013 Fiscal Year Research-status Report
高機能高分子材料として期待されるキチン/キトサン立体異性体多糖の酵素合成
Project/Area Number |
25620177
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30241722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 和哉 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (40347084)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | キチン/キトサン / 酵素反応 / 立体異性体 / ホスホリラーゼ / 非天然型 |
Research Abstract |
本研究では、耐熱性ホスホリラーゼによるグルコサミン1-リン酸からの酵素的糖転移反応を利用してキチン/キトサン立体異性体多糖の合成を検討した。この多糖は天然には存在しておらず、また通常の有機化学的手法では合成困難な構造である。まず、本研究で用いる非天然型基質であるグルコサミン1-リン酸(GlcN-1-P)の効率的合成法を検討したところ、安価なグルコサミンを出発原料に用い既存の汎用かつ効率のよい反応のみの組み合わせによる合成経路を確立できた。つぎに、GlcN-1-Pを用いた耐熱性ホスホリラーゼによる酵素的グルコサミニル化反応を行い目的糖鎖生成の可能性を検討した。反応はマルトトリオース(プライマー)を用いて酢酸緩衝液中で行った。GlcN-1-P/プライマー比、温度、pH等を変えて反応を行った結果、粗生成物のMALDI-TOF MSスペクトル解析および高速液体クロマトグラフィー分析により複数のグルコサミン残基の転移が確認された。また、マルトオリゴ糖の非還元末端を認識しグルコース単位での加水分解を触媒する酵素であるグルコアミラーゼで生成物を処理しても分解は起こらなかった。このことから、グルコサミン残基が非還元末端側に位置していることが確認された。しかし、生成オリゴ糖の重合度はそれほど大きくなく(5~7程度)、より多くのグルコサミン残基が転移する条件を検討した。その結果、反応で生成する無機リン酸が反応を阻害していることが分かり、これを沈殿させるように反応系を工夫することで、高重合度のキトサン立体異性体糖鎖が得られることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
グルコサミン1-リン酸の効率的な合成経路を速やかに確立し、酵素反応に安定的に供給できる体制を整えることができた。これにより種々の条件での酵素反応を鋭意、検討することができ、目的糖鎖が得られることを確認した。さらに反応系を工夫することで高重合度の目的糖鎖合成にまで発展させることができており、以上のことから本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度で得られた高重合度のキトサン立体異性体糖鎖の水系溶媒中、無水酢酸によるN-アセチル化を行いキチン立体異性体へと導く。構造を赤外分光光度計およびNMRにより解析し、N-アセチル化が定量的に行われていることを確認する。N-アセチル化生成物を極性有機溶媒中で無水酢酸を用いてO-アセチル化し有機溶媒可溶な誘導体に変換する。生成誘導体のGPC測定を行い分子量を見積もる。またIR、NMR測定を行うことで誘導体の構造を明確にし、目的多糖の生成を確認する。
|
Research Products
(5 results)