2014 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒和マグネシウムイオンの構造とイオン液体中における電気化学活性
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25620181
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
獨古 薫 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70438117)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機電解液 / 溶媒和構造 / イオン対 / 電気化学 / 電気めっき |
Outline of Annual Research Achievements |
Mg塩をエーテル系溶媒に溶解させた電解液を調製し、電気化学特性について検討を行った。Mg(TFSA)2〔TFSA: bis(trifluoromethanesulfonyl)amideの略〕とテトラグライム(G4, 化学構造:CH3-O-(CH2-CH2-O)4-CH3)を混合して電解液を調製した。電解液のイオン伝導率は0.5 mol/L程度の塩濃度で最大となり、室温で1.3 mS/cmであった。この電解液中でMg金属の電気化学的な析出・溶解について検討を行った結果、電解液中に不純物として含まれる微量の水がMg金属の析出・溶解過程に大きな影響を及ぼすことを確認した。電解液中の水分が100ppm以下の場合にはMgの析出・溶解が可逆に起きるのに対し、水分濃度が高くなるにつれて可逆性が低下した。これは、水分によりMg金属の表面に不動態被膜が形成されるためと推察される。次に、電解液中におけるMg2+の溶媒和構造についてラマン分光法により解析した。Mg2+イオンにG4分子が溶媒和し、錯カチオンを形成していることが分かった。さらに、電解液中ではMg2+の形成する強い電場によりTFSAアニオンが引き付けられ、接触イオン対を形成しやすいことが分かった。詳細な検討の結果、Mg(TFSA)2とG4が1:1で錯体を形成することが明らかとなった。この錯体の結晶の構造解析を行ったところ,結晶中ではMg2+イオンにG4が配位し、錯カチオン[Mg(G4)]2+を形成していた。さらにMg2+イオンには2個のTFSAアニオンが配位していた。つまり、1個のMg2+イオンにはG4の5個のエーテル酸素と、2個のTFSAアニオンが配位し、合計7配位の錯体構造となっていることが明らかとなった。また、錯体[Mg(G4)](TFSA)2とイオン液体を混合した電解液でもMg金属の電気化学的析出が可能であることを確認した。
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Research Products
(4 results)