2015 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの構造柔軟性をもった金属および半導体ソフトマターの創出
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25620183
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 静昭 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50157781)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNAゲル / 貴金属ナノ粒子 / 合金ナノ粒子 / 層状複合金属ナノ粒子 / 低環境負荷材料 / グリーンケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAから作られる親水性DNAゲルを鋳型に用いて、(1)貴金属(金,銀,パラジウム,銅)イオンの吸着、(2)金属イオンの還元の2段階で、貴金属ナノ粒子をソフトマターであるDNAゲル中に調整する方法を見出した。この方法では、貴金属イオンの吸着条件と還元反応条件の2つを制御することによって、平均粒径が1.5~4.5 nmの範囲にある微細でかつ粒度分布の小さな貴金属ナノ粒子を作ることができた。複数の金属イオンをDNAゲル中に吸着させてこれを金属に還元すると、金―銀、金―パラジウムのような合金ナノ粒子を調整することにも成功した。合金の金属混合割合は、金属イオン吸着段階のイオン混合比を変化させることで制御可能である。さらに、一旦DNAゲル中に単一金属ナノ粒子を調整しておき、再び別の金属イオン吸着と還元を繰り返すことで、初めのナノ粒子表面に別の金属層を析出させた層状構造の複合金属ナノ粒子も開発できた。生成物は電子顕微鏡によるHAADF-STEM解析によって確認した。 今回見出したナノ粒子は、粒子のサイズや組成の制御が容易で、ソフトマターである親水性ゲル中で扱えるという材料科学的な特長を有している。さらに、室温大気条件下に水溶液中で実施できること、生物や環境に対する有害性の少ない材料を使用すること、水産加工廃棄物から調製されるDNAの有効利用になることなど、グリーンケミストリーの視点からも優れたものである。得られた単一金属、合金、または層状複合金属ナノ粒子は、親水性DNAゲルマトリックスのまま水溶液中で化学反応の触媒として用いることができた。このため、粒子の会合、拡散、使用後の回収など取り扱い上の問題もない。
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Remarks |
村田・ジンチェンコ研究室@名古屋大学 http://www.human.nagoya-u.ac.jp/lab/groupmurata/publications.html
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Research Products
(7 results)