2014 Fiscal Year Annual Research Report
革新的室温ガス吸着物質を指向したナノ空間中のパーフルオロアルカン疑似液相の実現
Project/Area Number |
25620187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 亮太郎 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (00402959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 吸着 / ミクロ孔 / 細孔 / 金属錯体 / MOF |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の多孔性固体への吸着の概念である「細孔表面が作る規定されたエネルギーポテンシャルへの気体分子捕捉」ではなく「疑似液相が作る柔軟なエネルギーポテンシャルへの気体分子の溶解」という新概念に基づく物質設計を行い、常温・常圧での大量気体吸着物質の創製のために、気体親和性の高いパーフルオロカーボンやハロゲン化アルキル基を有する配位子の合成とそれらを用いた新しい多孔性金属の合成を行った。昨年度は銅イオンとパーフルオロ基を有するジカルボン酸を用いて2次元性の細孔物質を合成することに成功したが、本年度は新たに、亜鉛イオンとハロゲン化アルキル基を有する多孔性金属錯体PCP1およびPCP2の合成に成功した。PCP1およびPCP2はともに直径1nm程度のヘキサゴナル形状を有する一次元ナノチャンネルを有しており、その細孔には置換基のアルキル基が充填されていた。吸着測定を行った結果、驚くべきことに空間が充填されているにも関わらず、二酸化炭素を吸着可能であることが分かった。これは、空間内に充填されているアルキル基が二酸化炭素分子に対して誘導適合型に構造変化し、吸着を実現する新しい吸着現象と考えられる。また吸着等温線はゲート型と呼ばれる特定の圧力で急激に吸着が誘起されるタイプを示した。通常このようなゲート型は柔軟なフレームワークによって実現されると考えられていたが、本研究課題で合成したPCP1、およびPCP2は剛直なフレームワークで構造体が形成されており、構造変化を示しにくい構造体であった。今後は本研究で提案した概念による物質合成を様々な配位子系において展開し、ゲート型吸着をはじめとした吸着の科学の新しい展開が大いに期待できる。
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