2013 Fiscal Year Research-status Report
デインターカレーション反応を利用したサイズ分布幅の狭い銀ナノロッドの精密合成
Project/Area Number |
25620190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 元秀 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80222305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 光弘 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80332865)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | デインターカレーション反応 / 層状化合物 / 銀ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに類似の取り組み例が無い試みとして、インターカレーション化合物Ag-I-Bi2212の不安定性とナノサイズの格子空間からの異方的な原子供給に基づく銀ナノ粒子合成を目的として検討を行った。以下に、平成25年度に得られた知見の概要を記す。 ・高温超伝導体として知られるBi2Sr2CaCu2O8(Bi2212)をヨウ素雰囲気中で加熱処理することによってヨウ素包蔵Bi2212を作製し、その試料とAgIを固相反応させることによって出発試料を得た。X線による相の同定から、得られた試料はAgとヨウ素を包蔵したインターカレーション化合物(Ag-I-Bi2212)と判断された。 ・インターカレーション化合物Ag-I-Bi2212を大気中適当な温度で処理すると、試料表面にワイヤー状粒子が生成することを見出した。X線による相の同定と電子線マイクロアナライザーを用いて組成分析を行ったところ、観測されたワイヤー状粒子は銀であることが明らかになった。また、ワイヤー状粒子が生成する温度よりも、より高い温度で熱処理をすると、生成物はワイヤー状粒子が融解したような形態を示した。 ・上記銀ワイヤーの生成は熱処理雰囲気に依存した。密閉空間で熱処理したところ、銀ワイヤーの生成は観測されなかった。また、熱処理空間内に空気を流したところ、生成ワイヤーの太さや長さが流量によって変化する傾向にあった。傾向的には、ガス流量が多い程、細くて長いワイヤーが生成する傾向にあった。その原因は現時点では明らかではないが、Ag-I-Bi2212からのヨウ素の脱離挙動が関係していると推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究実施者の発案に基づき、銀とヨウ素を包蔵させたBi2212を熱処理することにより、一次元的な銀ワイヤーが形成されるといった新規な現象を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記の現象ついてより深く検討しながら、銀粒子のナノロッド化に挑戦する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ホスト試料の作製に多くの時間を費やしたことにより、デインターカレーション反応実験が限られた回数しか行えなかったことが影響している。 デインターカレーション反応実験をより多く行い、微細構造観察により積極的に行う。繰越予算は微細構造観察用の消耗品購入に充てる。
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