2013 Fiscal Year Research-status Report
可逆作動型燃料電池のためのナノ傾斜機能を有する自己再生型高性能電極
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25620197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石原 達己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80184555)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 燃料電池 / アノード / 可逆動作 / 自己再生 |
Research Abstract |
Pdを添加したLa0.7Sr0.3Fe0.9Mn0.1O3における酸化還元によるPdの酸化数の変化と分散状態の変化を検討した。その結果、XPSによるPdの酸化数の変化を検討したところ、酸化によるPdは2価の酸化数を取り、XRDによる解析ではLa0.7Sr0.3Fe0.9Mn0.1O3相のみが認められたことから、期待したようにPdは格子中に置換固溶することが分かった。一方、還元処理を行うとPdは金属の状態になり、格子から析出することが分かった。実際にXRD測定を行うと、PdのX線回折ピークを認めることができ、Pdが再析出することが分かる。そこで、期待したように、PdをLaFeO3系に添加した材料ではスマート電極として、Pdが格子中を雰囲気の酸素分圧によって、固溶、再析出を繰り返すことが分かった。 このPdを添加したLaFeO3系酸化物を燃料極とする可逆動作型燃料電池(SORC)を試作し、作動に伴う発電特性と電解特性を検討した。その結果、通常のPdを未添加のセルと比べると、Pdの添加により、繰り返し発電、電解における燃料極の過電圧の低下が抑制できることが分かった。発電後の燃料極のTEM観察では、Pdを添加しないと、LaFeO3の相分離と粒子成長を生じるのに対して、Pdを添加すると、添加されたPdの粒子サイズが小さく保たれることに加え、LaFeO3の粒子サイズも小さく保たれることが分かった。そこで、燃料極のインテリジェント材料化は、可逆動作時において電極の劣化の抑制に極めて有効であることが分かった。Pd以外の金属についても検討したところ、PtやAgではインテリジェント的な挙動は観測できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたようにPdを添加したLaFeO3がインテリジェント的な挙動を示すことを見出すとともに、インテリジェント機能の導入により、電極の焼結が抑制でき、金属自身の高分散状態を安定に維持できることを示した。そこで、研究は概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 今後はスマート電極機能を示す酸化物を、従来のLaFeO3からさらに広範囲に探索し、電極活性と安定性を同時に達成できる新しい酸化物系の探索を行う。とくに、比較的、良好な燃料極特性の期待できるNi系の欠陥ペロブスカイト化合物を中心に検討を行う。 2)粒子の酸化・還元による析出挙動を、できれば高分解能のTEMを用いて検討し、とくに再固溶した時の分散性を詳細に検討する予定である。またin-situ ラマン分析等により、析出挙動を追跡する。 3)可逆動作時における酸化物粒子の再分散する機構についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年度目の物品費が少なく、2年度目に酸素同位体を用いる実験を行う必要が生じたので、経費を一部、留保した。また、2年度目に成果の発表に米国材料学会での講演を企画していることから、経費を一部、保留し、次年度で使用することとした。 酸素同位体 300,000円、ガス配管具;150,000円、外国出張費;210,518円
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Research Products
(3 results)