2013 Fiscal Year Research-status Report
成膜条件制御によるポーラスSn薄膜創製とリチウムイオン電池の高容量・長寿命化
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25630002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20158918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 渊 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50625001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / Sn薄膜 / リチウムイオン電池 / 充放電特性 / ポーラス構造 |
Research Abstract |
平成25年度は申請時に計画した研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1.ポーラスSn薄膜の最適成膜条件の決定 スパッタリングにおける異なる成膜条件(出力と成膜時間)でSn薄膜を作製し、その構造変化を観察することにより、成膜条件がSn薄膜構造に与える影響を明らかにした。具体的には、まず、Sn薄膜における成膜速度のスパッタ出力依存性を定量化した。次に、Sn薄膜の成長プロセスを解明した。どんな成膜速度においても成膜時間が長くなるにつれて、Sn薄膜は独立した島状構造から連続した島状の合体を経てポーラス構造になり、その後緻密な柱状構造へ変化していくことがわかった。最後に、同一膜厚において、Sn薄膜構造の成膜条件依存性を明らかにした。出力が大きくなるにつれ成膜速度が速いほど島状あるいはポーラスの寸法が大きくなる傾向が見られた。上記の結果を踏まえ、ポーラスSn薄膜の成膜条件を見出した。 2.ポーラス構造でSn薄膜における体積変化の緩和と内部応力の抑制に関する実証 作製したSn薄膜を用いて異なる温度で熱処理を行い、Sn薄膜構造の変化を観察した。その結果、Snの融点付近において低出力かつ短時間で作製した独立島状構造を持つSn薄膜にはヒロックが発生する一方、高出力かつ長時間で作製したポーラス構造を持つSn薄膜には顕著な変化がなかった。これより、ポーラス構造が熱による体積膨張を緩和することにより、内部応力を抑制できると考えられる。 3.リチウムイオン電池評価セルの試作 作製したSn薄膜を負極とし、対極にリチウム箔を用いて、リチウムイオン電池評価セルを構築した。また市販の充放電装置を用いて動作を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、まず異なる成膜条件におけるSn薄膜構造を観察することにより、ポーラス構造の成膜条件を見出した。次に、異なる温度における熱処理がSn薄膜構造に与える影響を解明することにより、ポーラス構造が熱による体積膨張を緩和し、内部応力を抑制することを実証した。さらに作製したSn薄膜を負極材料として、リチウムイオン電池評価セルを試作し、市販用の充放電装置で動作確認を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載の計画の通り、研究を推進する。 平成26年度は、本年度の研究成果に基づき、異なる構造を持つSn薄膜を負極材料として用いて、リチウムイオン電池評価セルを組み立て、充放電サイクル試験を実施する。まず充放電容量の変化により、Sn 薄膜負極における充放電サイクルの増加に伴う容量降下をポーラス構造が低減することを実証する。またSn薄膜負極の構造変化を観察することにより、そのメカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、平成25年度に納品済みで4月支払分の物品費である。 上述の理由の通り、次年度に使用予定の残額はない。
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