2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体用弾性率自己調整金属の応力応答性自己強化-応力誘起オメガ相に秘められた可能性
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25630004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20431603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 健吾 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70632339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体用金属材料 / チタン合金 / 変形誘起相変態 / オメガ相 / 疲労特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らにより開発された弾性率自己調整金属は、変形誘起ω相変態を利用することにより、変形部のみ弾性率が上昇し、非変形部はβ相のままであるため低弾性率を示すことを特徴とする新しい生体用金属材料である。当初、この特性は、脊椎固定器具への応用を想定し、金属と骨との弾性率差に起因する応力遮蔽を軽減し過剰な骨吸収を抑制するための低弾性率と、手術の施行における同器具の曲げ変形時のスプリングバックを軽減しハンドリング性を高めるための高弾性率とを両立することを目的としていた。しかし、この場合、弾性率自己調整金属の適用範囲は、脊椎固定器具を含む、手術中に変形が加えられる器具に限定される。そこで、本研究では、弾性率自己調整金属の波及効果を高めるため、その特徴である変形誘起ω相変態による高弾性率化を、強度・耐久性の向上に利用することとした。昨年度は、代表的な弾性率自己調整金属であるTi-12Cr合金の溶体化状態における疲労特性を評価した。その結果、Ti-12Cr合金は、溶体化状態であるにもかかわらず、高い疲労強度を示すことを明らかにし、従来の低弾性率β型チタン合金の短所であった低耐久性を克服できる可能性を示した。今年度は、疲労試験前に冷間加工を加えることにより、あらかじめ変形誘起ω相が形成した状態のTi-12Cr合金の疲労特性を評価した。等温時効処理により形成するω相は脆化を引き起こすことから、一般的にはω相は有害であると考えられている。しかし、本研究において冷間加工を加えたTi-12Cr合金の疲労特性を評価した結果、溶体化状態に劣らず高い疲労強度を示した。以上の結果、変形誘起ω相はβ型チタン合金の疲労特性の向上に対して有効に作用すると考えられる。
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Research Products
(11 results)