2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドデジタル画像相関法によるナノ薄膜の局所高ひずみ塑性特性評価
Project/Area Number |
25630012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
箕島 弘二 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50174107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平方 寛之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40362454)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 材料強度学 / 薄膜 / 塑性変形特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚さがナノメートルスケールの金属薄膜(ナノ薄膜)は高い降伏強度を有し,巨視的にはぜい性的に破壊する。しかし,破壊が進行する局所領域では大きなすべり変形を生じて延性的破壊形態を示す。このため,ナノ薄膜の強度特性の支配因子を定量的に明らかにするためには,局所の高ひずみ領域における塑性特性の解明が不可欠である。しかし,通常の引張試験では薄膜中の欠陥によって低ひずみで破断するため,高ひずみ領域の塑性特性を評価することができない。本研究では,薄膜試験片に制御した局所応力集中場を創り出して,その領域の変形場を「ハイブリッドデジタル画像相関法」によって計測・評価し,この結果を基にした高ひずみ領域におけるナノ薄膜の塑性特性推定法を開発する。 1.ハイブリッドデジタル画像相関法によるひずみ解析法の開発: アワーグラス型試験片と中央切欠きを組み合わせた膜厚500 nmの自立Cu薄膜試験片の表面に変位場測定の標点となる酸化マグネシウム粒を付着させ,FESEMその場観察引張試験を実施した。取得した画像を基にデジタル画像相関法による切欠き近傍の高ひずみ領域における変形場を評価する方法を開発した。本手法により,引張試験における破断ひずみが1%程度しかない本Cu薄膜に対して,約5%までのひずみ範囲における高ひずみ塑性特性を推定できた。 2.開発したひずみ解析法の応用検討: 本手法を疲労き裂の開閉口挙動解析に適用して,有用性を検討した。既存手法では疲労き裂開閉口を検出できないナノ薄膜試験片に対して,本研究で開発したひずみ解析法を応用してき裂先端周囲の変形場を直接計測することによってき裂開閉口を定量的に評価することを試みた。この結果,膜厚500 nmのCu薄膜ではき裂閉口を生じ,これを考慮した有効応力拡大係数範囲が疲労き裂進展を支配することを明らかにした。
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