2013 Fiscal Year Research-status Report
加工領域限定と極間距離検出の機能を備えた電解加工工具の研究開発
Project/Area Number |
25630021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏 恒 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40345335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電解加工 / 形状創成 / 電解液 / 工具 / 吸引 / 極間検出 / 工具送り制御 / 流体解析 |
Research Abstract |
本研究では、電解加工の致命的な欠点である低い加工精度を根本的に解決するため、加工しない箇所に電解液に存在させないという発想で、加工領域の限定機能と極間距離の検出機能を備えた電解加工工具を提案し、切削は困難で、放電加工は電極消耗が激しく、加工速度が遅いインコネルや超硬合金の穴及び複雑形状を、単純工具の走査により、高速度で加工し、総形電極に不向きな多品種・少量生産の部品加工を実現することを目的とする。研究目的及び研究目標を達成するために、以下の課題を明確にし、解決策を検討する。a)電解液が加工領域外に漏れず、また十分な量の電解液を吸引できるよう、流体解析を行ったうえ、工具構造を設計する。b)極間距離と吸引力の関係を求め、加工中の極間距離を検出・制御することにより、加工精度と速度の向上を狙う。なお、極間距離の検出と制御を実現する制御システムを構築する。c)構造が複雑で製作コストの高い工具を半永久的に使用するため、パルス電源使用時の電極消耗対策を検討する。d)電解液の吸引穴による加工残留部と穴加工貫通時の電解液吸引不能の対策を検討する。e)電極の走査により複雑形状を創成するため、目標形状に合わせた電極のパスと走査速度を求めるアルゴリズムを確立する。 今年度は、実験装置を構築し、単一のポンプにより吸引を行い、電解液を工具直下で循環させると同時に、吸引チューブ内の圧力変化により非接触で極間距離を検出できることを流体解析および実験により検証した結果、以下のことを確認した。(1)工具電極からの吸引のみにより、極間に電解液を循環できる。(2)工具の吸引圧力によって極間距離の推定が行える。(3)工具側面での加工を抑制し、加工領域の限定が可能である。(4)工具を横方向に走査し、加工を行うことも可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究計画には、以下の4項目を実施すると予定していた。(1)加工工具の構造設計・流体解析、(2)極間距離と吸引力の関係の調査、電解液流れの性能検証、(3)加工実験、(4)工具電極の運動制御及び電源装置の構築。 これらの項目を実施したうえ、電極走査により、形状創成の可能性を実験により検証した。また、応用事例として、提案した工具を大型工作機械の摺動面上のオイルポケットの形成に適用し、優位性と可能性を検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、25年度の研究成果を踏まえ、以下の項目を実施する予定である。 (1)中央突起部と穴貫通時の対策検討: 現在使用している工具の構造では、穴加工を行うと中央に突起部が残る。そこで、電極を揺動させ、または電解液の吸引穴の位置を中心からずらして設置したうえ、工具電極を回転しながら加工し、突起部をなくす。また、貫通穴を加工する場合、穴間通時に貫通した穴から外気が吸引されるため、電解液の吸引ができなくなる。対策として、工作物の下部に犠牲板を設置し、工具直下に常に狭い極間距離を形成する。 (2)電極消耗対策の検討: 直流電流を用いた際に発生しない工具電極の消耗が、パルス電源を用いると発生してしまうこと、ローレベル電圧を上げることにより消耗を防げることはこれまでの研究で明らかとなった。本研究も、電極が消耗しないようなローレベル電圧を調べ、加工に用いる。 (3)3次元微細形状の創成加工の実現と評価: 形状創成加工には、工具パスと走査速度を求める必要がある。これまで、筆者らが電解液ジェット加工において、重ね合わせの理に基づいて、複雑形状の創成加工を実現する工具軌跡と速度を求める方法を確立している。その方法を利用し、目標形状を加工する工具電極の軌跡と速度を求め、3次元微細形状を創成する。また、加工後形状を形状測定器により評価する。
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