2013 Fiscal Year Research-status Report
陽極酸化を援用した金型用SiC材の高能率・高精度形状創成と表面仕上げ法の開発
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25630026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山村 和也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60240074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 陽極酸化 / 金型 / SiC / 研磨 / 非球面 |
Research Abstract |
当初計画では、形状創成を主目的とする「陽極酸化援用エッチング」に関する基礎研究を初年度に実施する予定であったが、エッチングに用いる高濃度フッ化水素酸を安全に取り扱う方法を見いだすことができなかった。そこで、2年目に実施する予定であった仕上げ加工を主目的とする「陽極酸化援用研磨」の加工速度を向上させて形状創成から仕上げまでを一貫して行うことに方針を変更した。本年度は金型や宇宙望遠鏡のミラー基板材料として用いられる反応焼結SiC(RS-SiC)を加工対象としてに実施した基礎研究により得られた成果を以下に記す。 (1)EDX測定による元素マッピングの結果、陽極酸化においてはRS-SiC中のSiC部が優先的に酸化され、Si部はほとんど酸化されないことがわかった。 (2)酸化セリウム(セリア)スラリーを電解液とした陽極酸化において、RS-SiCの初期酸化レートとして0.67 µm/hを得た。 (3)セリアスラリーに対して強電解質である塩化ナトリウムを添加し導電率を増加させることにより、初期酸化レートが1.9 µm/hに向上できた。 (4)セリアスラリーを用いてSiCとSiO2, Siの研磨特性を調査した結果、SiCでは研磨がほとんど進行せず、SiO2とSiではプレストンの法則に従う研磨レートが得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画を変更しての研究開発であったが、反応焼結SiC基板に対する形状創成能力ならびに表面平滑化能力において従来手法と比較して遜色のない結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロセスでは陽極酸化膜の形成と砥粒による酸化膜の除去を同時に行うが、酸化膜の形成速度と除去速度のバランスが重要である。また、加工対象である反応焼結SiC材は、酸化レートや研磨レートが異なるSiCとSiの2相から構成されるため、その違いを補償する方策が不可欠である。今後、SiCとSiの加工特性の違いを補償するため、陰極部と研磨パッド部が一体化させた加工ヘッドを開発する。具体的には、酸化レートを律速する陰極部の面積と酸化膜の除去レートを律速する研磨パッド部の面積の最適化を基礎実験結果をもとに図り、SiC部とSi部が同じレートで除去できるプロセスを開発する。また、開発したプロセスをもとにして反応焼結SiC材に対して平面、ならびに非球面形状の創成を行い、その形状創成能力ならびに平滑化能力を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究進捗の遅れにより、当初は初年度内に実施する予定であった電極-研磨パッド複合加工ヘッドの試作が間に合わなかったため。 電極-研磨パッド複合加工ヘッドは2014年度の6月末をめどに試作し、次年度使用額として適切に処理する予定である。
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