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2013 Fiscal Year Research-status Report

木質バイオマスを原料とした工業用高品質ダイヤモンド膜の低温・常圧合成

Research Project

Project/Area Number 25630027
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

大参 宏昌  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00335382)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywordsプラズマプロセス / ダイヤモンド / バイオマス / 物質変換 / 特殊加工
Research Abstract

本研究では、廉価な木質バイオマス:木炭を原料に用い、高品質な工業用ダイヤモンド薄膜の低温・常圧合成を可能にする材料プロセスを開発することを目的としている。具体的には、申請者が独自開発してきた常圧近傍・低温の高密度水素プラズマを用い、その特異的な反応場を巧に利用して木質バイオマス原料から単一炭化水素ガスを遊離し、高純度ダイヤモンド薄膜を合成するプロセスを確立することである。そこで本年度は、1. 高密度水素プラズマによる木質バイオマス(木炭)の高効率ガス化条件の確立を具体的な目標とした研究を行った。
現有のマイクロ波プラズマ装置にて木炭のガス化処理を可能とするための小型の専用反応器を設計製作した。ここで、木炭の水素化反応は、グラファイトおよびグラッシーカーボンなどの固体炭素源の水素化反応で得た知見から、200°Cから400°Cの温度範囲に最大のエッチングレートを示す温度が存在すると予想されたため、木炭原料の温度を任意制御可能なものとした。
本研究では木炭原料の比較のため、国産のウバメガシからなる白炭と黒炭を原料として選択し、これらの木炭原料に対して水素プラズマを曝露し、生成されるガス種(分子の種類)を気相赤外吸収分光法により得られるスペクトルから同定した。生成される炭化水素ガス種の主たる成分は、メタンである事が明らかとなった。また、プラズマ生成条件(電力、圧力、水素流量)が木炭のエッチング挙動に与える影響を系統的に明らかにするとともに、プラズマによる反応生成ガス中の炭化水素以外の成分を抑制するためには、処理前の脱ガス処理が重要である事が分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、廉価な木質バイオマス:木炭を原料に用い、高品質な工業用ダイヤモンド薄膜の低温・常圧合成を可能にするプロセスの開発を目指している。確立を目指すダイヤモンド合成プロセスは、大まかに分類すると水素プラズマを用いて木質バイオマス原料から炭化水素ガスを生成する工程、さらには生成したガスを利用してプラズマによりダイヤモンド薄膜を合成する工程からなる。全研究期間2年の内、本年度の研究実績により、この前者の工程を把握し高効率化するために必要な知見が得られているため、おおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究実績を踏まえ、今後は以下の2点を達成するための研究を推進する。
1. 木質系バイオマス由来不純物の精製・除去プロセスの開発
木炭中には、灰分を構成する元素が最大1wt%程度含有されている。そのため、木炭からダイヤモンド薄膜を形成するに当たり、これら灰分元素の輸送挙動を把握する必要がある。具体的には、様々なプラズマ生成条件にて木炭原料から炭素薄膜を作製し、膜中の各種灰分元素濃度と木炭原料中濃度を定量比較することで、各種不純物元素の輸送特性を評価する。さらには、プラズマの発光分光スペクトルに現れる、各種不純物元素からの発光線にも留意し、不純物元素の輸送経路を検証する。
2. 高品質ダイヤモンド薄膜の高効率形成プロセスの確立
ここでは、木炭原料由来の炭化水素ガスを用いて、Si基板上へ種々の炭素薄膜を形成し、ダイヤモンドの形成が可能となる条件をまず見出す。とりわけ条件の探索に当たっては、メタン原料を用いたCVDで報告されている条件を参考にして進める。その後、成長条件(投入電力,ガス組成、基板温度、圧力)と結晶性(不純物濃度、ラマンスペクトル、欠陥密度)、成長速度、利用効率の相関を明らかにし、本手法により形成されるダイヤ膜の高品質化に必要な因子を見出し、最適成長条件を確立する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

原料および試料の評価測定に関して、当初外部委託を予定していたものが学内装置の利用が可能となったこと、さらにはマイクロ波電極、真空部品、赤外吸収分光装置の窓材等の実験消耗品の交換回数が、当初予定していたよりも少数回で終えられたことによる。
平成26年度には、原料中不純物の精製・除去プロセスの確立とダイヤモンド形成の実証を目的としている。とりわけ前者のプロセスを確立する上で、木質バイオマス中の灰分由来不純物の輸送特性を明らかにするための実験を計画している。上記の理由にて発生した次年度使用額は、本年度に予定している木炭中の灰分不純物の輸送特性を把握するために必要な不純物濃度測定の測定サンプル数、および測定対象元素数を増強し、より緻密なデータを採取することで、不純物輸送特性の精密な解明のために使用する予定である。

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Published: 2015-05-28  

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