2013 Fiscal Year Research-status Report
シリコンスラッジと銅粉との赤外線焼結による次世代リチウムイオン電池製作の試み
Project/Area Number |
25630030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40323042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シリコン / 微粒子 / 赤外線 / 焼結 / リチウムイオン電池 / ポーラス構造 / 厚膜 / ウエハ切断 |
Research Abstract |
単結晶シリコン(Si)のインゴットからウエハへと切断する工程では,スラッジと呼ばれる大きさが数ミクロン程度のSi粉末が大量に発生する.ウエハが薄くなり口径が大きくなるに伴い,スラッジの発生量も増加する.スラッジには砥粒などの除去困難な不純物が混在するため,インゴット生産への再利用ができず,産業廃棄物として処理されている.本研究では,銅粉(Cu)をSiスラッジへ混合し,赤外線加熱を用いて銅粉のみを瞬間的に溶融・再凝固させることで優れた機械的・電気的特性を有するSi/Cu複合膜を創製する.最終的に,複合膜の組成や気孔率などを制御することで大容量リチウムイオン電池負極の製作へ適用する. H25年度では,まず赤外線加熱装置をXYステージに搭載し,赤外線をXY方向にスキャンできる簡易焼結装置を構築した.また,膜厚均一化と気孔率制御のために,Siスラッジ/銅粉の混合・分散方法の検討を行った.高品質の複合膜を得るには2種類の微粒子の均一分散が非常に重要であり,粉体ミキサなどを用いて攪拌方法や分散条件の最適化を行った.そして,混合物を銅基板へ塗布し,膜厚の均一化を行った後,赤外線照射実験を行った.さらに赤外線照射で焼結した複合膜の膜厚や表面・断面性状を走査電子顕微鏡などを用いて観察し,赤外線の照射条件による膜構造への影響を特定した.これらの基礎実験によって,ポーラス複合膜の形成を確認することができた. 以上の成果は大容量リチウムイオン電池負極の製作の可能性を示すもので,今後の開発に対して重要な指針を与えるものであると考えられる.H26年度では,各種条件で作製した複合膜の電気的特性評価などを実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,構築したXYステージ搭載の赤外線加熱装置は,赤外線をXY方向に精密な高速スキャンできる簡易焼結装置であり,本実験の性能を満たしている.また,膜厚均一化と気孔率制御のためにのSiスラッジ/銅粉の混合・分散方法について,その有効性を実験的に確認した.さらに赤外線照射で焼結した複合膜の膜厚や表面・断面を走査電子顕微鏡などを用いて観察した結果,ポーラス複合膜の形成を確認することができた.以上により,本研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度では,顕微レーザラマン分光光度計などを用いてSi粒子相変態の有無確認し,膜の硬さやヤング率などの機械的特性を調査する.また,溶融CuとSi粒子との結合や拡散現象について微視的な観察や解析を行う予定である.さらに,焼結したSi/Cu複合膜をリチウムイオン電池負極として用いた際の導電性やイオン吸収性などの電気的特性を評価し,不純物による影響の有無を確認する.最後に,本提案技術の実用化に向けての課題抽出を行う予定である.
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Research Products
(1 results)