2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
安藤 泰久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00344169)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MEMS / トライボロジー / AFM / 静電アクチュエータ |
Research Abstract |
3次元マイクロステージのシリコン基板にカンチレバーを取り付けるとき、水平方向に±5µm程度、垂直方向には±0.5µmの精度で、プローブ先端の位置を制御する必要がある。そこで、専用マニピュレータの開発をまず行った。このマニピュレータのポイントは、光学顕微鏡の対物レンズの下にカンチレバーと3次元ステージを配置し、複数の角度から顕微鏡で観察しながら必要な精度で位置決めを行う点である。距離の制御を容易にするために、カンチレバーとステージの間にはくさび形の金属製ブロックを配置し、導電性の接着剤を塗布し、接着剤が硬化する前に、マニピュレータにより位置決めを行った。このとき、斜め上方向からプローブの先端を観察することで、シリコン製のステージ上に現れる鏡像を利用して、プローブとステージ間の距離をミクロンオーダーで制御することに成功した。 AFMカンチレバーを固定して動作が確認できたオンチップAFMについて、駆動電圧とステージ変位の関係を校正した。レーザー顕微鏡(レーザーテック社製 OPTELICS)のサンプルステージにオンチップAFMを配置して、静電アクチュエータに段階的に駆動電圧を印可し、その時のステージの変位を測定した。次に、市販のAFMコントローラ(SIIナノテクノロジー SPI3800)に接続して、AFM測定によりステージ面の形状を観察する実験を行った。まず、比較的高荷重で狭い範囲を複数回走査し、わずかにステージ面が摩耗したところで、より広い範囲を捜査し摩耗部の観察を行うことによって、AFMの動作が実現できていることを確かめた。また、150分の時間間隔をおいて、同じ走査電圧で摩擦力像を測定した結果、摩擦力像はほぼ完全に一致した。このことから、十分に高い耐ドリフト性能を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一体型のオンチップAFMを試作し、その動作を確認できたことが大きい。本研究を進めて行く上での最も重要な課題をクリアできたことになる。AFM動作の電圧-変位の関係の確認に当たっては、スパッタ膜の蒸着を計画していたが、金属の回り込みによる絶縁不良の懸念があったために、AFM走査によって生じた形状変形を利用しての実験となった。しかし、これは本質的な変更では無く、本来の目的は達成されている。また、本年度購入したレーザー顕微鏡を併用することで、定量的な校正が容易になったことは、計画以上の進展とも言える。安定性の確認に対して、温度制御の実験が未着手となったが、長時間の安定性は確認できた。したがって、全体としては概ね計画通り進んでいると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
光てこ方式ではカンチレバーの角度を検出するため、擾乱には強いと考えられるが、レーザー光学系との構造的なパスを最小にするとともに、ノイズ源も排除するために、スパッタイオンポンプを用いた専用真空チャンバを試作する。また、シリコン表面から物理吸着水を十分に排除できるように、オンチップAFMを取り付ける部分には抵抗加熱ヒータを配置する。これらの環境を整えることにより、擾乱に強くなり、より理想的な条件での測定が可能になる。 また、オンチップ型AFMの欠点として、カンチレバーが一旦摩耗してしまうと、交換が困難なことがあげられる。そこで、カンチレバーとステージを完全に一体化をせず、適宜交換が可能になるような構造についても検討を行っていく。
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Research Products
(2 results)