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2014 Fiscal Year Research-status Report

オンチップAFMによる単原子摩擦計測の実現

Research Project

Project/Area Number 25630034
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

安藤 泰久  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00344169)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords走査速度 / 摩擦係数 / 電流測定 / 凝縮水 / 動圧効果
Outline of Annual Research Achievements

オンチップAFMを通常のAFMに取り付けた場合、レーザー光学系と測定対象のカンチレバーとの機械的なパスが長いため、オンチップAFMの性能を100%発揮させることが出来ない。そこで、スパッタイオンポンプを用いた小型の真空チャンバを利用し、専用チャンバの試作に取り組んだ。市販のAFMのカンチレバーホルダーを改造した形状の部品を製作し、そこにオンチップAFMを固定することで、光学的なパスの大幅な短縮に成功した。
また、専用チャンバの試作と並行して、通常のAFMを用いて単分子計測に向けての走査条件の検討を進めた。雰囲気(真空及び大気中)、温度、荷重、走査速度を変化させて摩擦係数を測定した。シリコンウェハを試料として測定を行ったところ、大気中の測定で摩擦速度が増加したとき、摩擦係数が急激に低下する現象を確認した。そこで、これが凝縮水の動圧効果によるものであると仮説を立て、その仮説の検証を電流測定により行った。試料をルテニウム単結晶として、探針と試料間にバイアス電圧を印加して走査し、摩擦測定と電流測定を行った。その結果、走査速度を増加させた時に、摩擦力の低下と電流の減少が同時に観測され、このことから凝縮水の動圧効果によって、探針と試料間の距離が広がっていることが示唆された。
以上の結果から、荷重を下げるだけではなく、走査速度を変えることによっても、接触面積を低下させて、単原子摩擦が測定できる可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

単分子摩擦の測定の向けてその条件を明らかにする取組は順調に推移している。予定通りのパラメータで摩擦測定を行い、その中で走査速度を変化させることで、接触面積が低下することが分かったことが大きな成果である。また、電流測定を組み合わせることで、摩擦力以外に接触面積を推定できることが確認できたことも大きい。一方、摩擦速度や温度、雰囲気を変化させてのAFM計測は、当初はオンチップAFMを用いて行う予定であった。しかし、プロセスの問題から十分な数のオンチップAFMを用意することが出来ず、通常のAFMを使っての検討となってしまった点は、計画通りではなかった。以上より、全体としては、概ね計画通りに順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

最終年度となる本年度は、オンチップAFMを専用の真空チャンバに組み込み、荷重だけでは無く走査速度についてもパラメータにとり、摩擦測定、原子分解能の形状測定に取り組む。ただし、オンチップAFMでは、その構造上サンプルステージとカンチレバーは導通しており電流測定による接触面積の検討を行うことはできない。そこで、通常のAFMを用いた測定も並行して行い、オンチップAFMによる計測結果との比較検討も行う。
また、接触面積が増加する方向ではあるが、摩擦速度を極端に低くして超低速度での走査を行い、接触面積、温度の影響が摩擦力や摩擦力像に与える影響について検討を進める。超低速度の摩擦の検討では、現有のAFMの制御装置では限界があるため、走査信号を外部から加え、AFM装置は荷重(垂直荷重電圧)の制御と摩擦力の検出のみに用いる予定である。
以上の検討を通じて、接触面積、走査速度が摩擦係数に与える影響を明らかにし、摩擦力発生のメカニズムを探る。

Causes of Carryover

今年度専用の真空チャンバの試作を行ったが、他の研究で使用しなくなった真空チャンバがあり、それを流用したためその分の支出が減った。また、オンチップAFMの製作上の問題が生じたため、その解決に取り組み、そのためオンチップAFMの製作に必要な消耗品等の購入が減ったため、全体として今年度の支出が少なくなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度購入予定だった消耗品(シリコンウェハやSOIウェハ、カンチレバー等)の購入を次年度予算で行う予定である。なお、今年度の研究の結果、AFMによる導電性計測が、接触面積の推定に有効であることが分かったため、通常のシリコン製のカンチレバーに加えて、導電性カンチレバーも次年度予算で購入する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Measurement of diminishing friction force under ultra-light load using atomic force microscope2015

    • Author(s)
      Daichi Takahara, Yasuhisa Ando
    • Organizer
      International Tribology Conference, Tokyo 2015
    • Place of Presentation
      東京理科大学(葛飾キャンパス)
    • Year and Date
      2015-09-16 – 2015-09-20
  • [Presentation] 金属の酸化状態がシラン処理に与える影響の摩擦による評価2014

    • Author(s)
      川口正進, 福田めぐみ, 安藤泰久
    • Organizer
      2014年度日本機械学会年次大会
    • Place of Presentation
      東京電機大学(東京千住キャンパス)
    • Year and Date
      2014-09-08
  • [Presentation] 3次元マイクロステージを用いた単原子摩擦に関する研究2014

    • Author(s)
      高原大地, 大谷友基, 安藤泰久
    • Organizer
      2014年度日本機械学会年次大会
    • Place of Presentation
      東京電機大学(東京千住キャンパス)
    • Year and Date
      2014-09-08

URL: 

Published: 2016-05-27  

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