2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体の潤滑作用への超熱原子状酸素照射による影響のin-situ測定
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25630036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 正浩 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80209014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木之下 博 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50362760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオン液体 / トライボロジー / 低地球軌道 / 超熱原子状酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン液体は,熱安定性,超低蒸気圧,適度な粘度,また優れた摩擦特性から,次世代の宇宙環境用潤滑液体として期待されている.しなしながら,GPS衛星や宇宙ステーションが飛行する高度200kmから700kmの低地球軌道(low Earth orbit;LEO)における主な残留大気成分である原子状酸素に対する耐性が全く明らかになっていない.そこで本研究では,地上で低地球軌道の原子状酸素環境(単位時間当たり照射量:10e15 atoms/cm2 以上,原子状酸素平均並進エネルギー:5eV)を模擬できる超熱原子状酸素ビーム装置を用い,超熱原子状酸素照射によるイオン液体の摩擦特性への影響を調べた.照射および摩擦実験は超熱原子状酸素ビーム装置とその真空チャンバー内で動作する真空摩擦試験機を用いて行った. 研究当初,照射を行いながら摩擦試験を行っていたが,摩擦力に全く変化がなかった.それゆえ,照射は途中で摩擦を止めて67500shots, 82500shots, 95700shotを照射し,合計2.5×1020atoms/cm2の照射を行った.総照射量は高度にも依るが,おおよそ低地球軌道に2~3日曝露されたのと一致する.しかしながら,同一条件で大気中,真空中で摩擦を行ったものと摩擦係数はほとんど変化がなかった.さらに実験後の摩擦痕についても真空中とほとんど変わらず,フーリエ変換赤外分光でイオン液体を分析した時も,何もしていないアズレシーブドのイオン液体と,真空中および真空中で超熱原子状酸素を照射したイオン液体で差異は見られなかった.これらの結果から,低地球軌道に2~3日曝露されても,超熱原子状酸素照射のみではイオン液体の摩擦特性は影響を受けないことが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)