空気力懸垂支持方式非接触壁面走行体の研究開発

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25630042
• Research Institution: Fukui University of Technology
• Principal Investigator: 小沢 康美 福井工業大学, 工学部, 教授 (90160861)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 非接触壁面走行体 / 空気力懸垂支持 / 気体軸受

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は気体軸受すきま内に発生する正圧（大気圧以上の圧力）と負圧（大気圧以下の圧力）を巧みに利用して，天井面や垂直壁面上を非接触状態で移動することが可能な「空気力懸垂支持方式の非接触壁面走行体」を開発することである．
本研究で開発する非接触壁面走行体は，静圧気体スラスト軸受，推進・停止用ジェットノズル，コントローラ・センサから構成されるものである．ここで気体軸受については，できるだけ小型軽量で高い吸引力を有するものが必要となる．この気体軸受の設計のためには軸受すきま内流動を解明し，走行体を非接触懸垂支持させるために必要な圧力分布，吸引力を求めることが不可欠である．
平成26年度は衝撃波の獲得が可能なTVDスキームを有する商用ソフトウェアのSTAR-CCM+を導入し，シミュレーションを行った．また吸引力を最大とする軸受諸元（給気孔径，軸受直径）を決定するために必要となる軸受諸元の異なる気体軸受を設計・製作し，実験により吸引特性を求めた．
一方，非接触壁面走行体の開発については，平成26年度は全方向走行可能な非接触壁面走行体としてコントローラとセンサは搭載せず，静圧気体スラスト軸受と推進・停止用ジェットノズルのそれぞれが4個から構成された非接触壁面走行体を試作した．非接触壁面走行体について天井面における走行実験を行い，全方向への非接触壁面走行が可能であることを確認した．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初に予定していたTDVスキームを実現することが可能な有限体積法に基づく商用ソフトウェアのα-FLOW 用のプリ・ポストプロセッサが販売中止となった．そのため代替品としてSTAR-CCM+（ソフトウェア使用ライセンス契約）を導入し，シミュレーションを行っている．この点については遅れがみられるが，その他の研究項目についてはほぼ予定通りに遂行されている．

Strategy for Future Research Activity

平成27年度には下記の項目については平成26年度に引き続いて研究を遂行する．
１．非接触壁面走行体に必要な気体軸受の基本特性の解明（静圧気体スラスト軸受すきま内の気体流動の解明（シミュレーションと実験），吸引力を最大とする軸受諸元の決定，軸受特性に及ぼす表面あらさの影響の解明）
2．非接触壁面走行体の開発（製作と動作検証実験，摩擦が極めて小さい場合の走行・停止の制御）
さらに平成27年度には以下の項目についても研究を開始する．
1．騒音対策（非接触懸垂走行体の軸受すきま内の流速は超音速となるため，十分な騒音対策が必要となる．騒音対策の方法について実験により検討する．）

Causes of Carryover

当初に予定していたTDVスキームを実現することが可能な有限体積法に基づく商用ソフトウェアのα-FLOW 用のプリ・ポストプロセッサが販売中止となった．そのため代替品としてSTAR-CCM+（ソフトウェア使用ライセンス契約）を導入し，そのソフトウェア使用ライセンス契約を2年3ｹ月とした．これは当初に予定していたα-FLOW 用のプリ・ポストプロセッサの購入予算内に収めたためである．

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額についてはSTAR-CCM+のソフトウェア使用ライセンス料（3ｹ月分）と非接触懸垂走行体の製作費にあてる．