2013 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロダイン検出法の適用による非定常PSP計測の高圧力分解能化
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25630050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 佑 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20402513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 泰広 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80292283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / ヘテロダイン検出 / 非定常流体計測 |
Research Abstract |
近年,感圧塗料(PSP)による気体流中の物体表面の圧力分布計測技術が大きな注目を集めている.PSPによる圧力計測法では,色素分子に光を照射した際の発光が酸素分子との相互作用によって消光される原理を利用する.すなわち,色素分子の発光強度が酸素分圧によって変化することから圧力分布を計測する.PSPは,一般的に用いられている圧力孔による多点計測と異なり,塗布した物体表面での面計測が可能であり,また高空間分解能を達成できるため,基礎科学分野から工業製品の研究開発にわたる広い範囲への適用可能性を秘めている.しかし,PSPは絶対圧センサーで,その計測域が数kPaから数気圧にわたるため,大気圧近傍の微小な圧力変化の計測は非常に難しい.特に非定常計測では画像の平均化によるSN比の向上が困難であり,その計測システムの構築は極めて挑戦的な課題である. 本研究では非定常PSP計測にヘテロダイン検出法を適用することで,従来困難であった1 kHz以上の周期で時間変動する0.1 kPa程度の圧力変動の検出を可能とすることを目指す.今年度は,ヘテロダイン検出法によって得られるPSP信号と圧力変動との関係を理論的に調査した.またPSPとしてTLCプレートをバインダーに用い,感圧性の色素にPtTFPP (platinum(II) meso-tetra (pentafluorophenyl) porphine)を用いたPSPを作製し,これを用いて共鳴管(クント管)内に発生する圧力変動の検出を試みた.その結果,0.3から1 kHzで周期振動する圧力変動の検出に成功した.また計測値は別途設けた圧力孔での計測値によく一致することを確認し,また0.1 kPa程度の圧力分解能を有することを確認した.これによりヘテロダイン検出法を適用することにより非定常PSP計測の精度向上が可能であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に対し,項目毎に進展が前後しているものがあるが,全体的にはおおむね当初の計画通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,ヘテロダイン検出法を適用した非定常PSP計測により1 kHz以上の周期で時間変動する0.1 kPa程度の圧力変動の検出を可能としている.ただし,これは簡便なPSP試料を用いたものであり,非定常計測に適したPSP試料の使用により更なる精度の向上が強く期待される.そこで,次年度ではより高度化されたPSPの使用による精度の向上を試みる.また,現在は得られた信号に関し,その他のフィルタ処理等を一切行っていない.これらについても検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部,検討予定であった色素分子の購入を研究計画の進展に合わせて計画変更したため. 当初予定していた色素分子の購入・検討及び成果発表費として使用予定.
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Research Products
(3 results)