2013 Fiscal Year Research-status Report
無消光で校正不要な定量可視化用感温中空マイクロカプセルの開発
Project/Area Number |
25630058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
染矢 聡 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 上級主任研究員 (00357336)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 蛍光 / 燐光 / 流れの可視化 / 温度 |
Research Abstract |
本研究では,水・油・アルコール等で利用可能な,感温性中空マイクロカプセルを開発する.カプセル化により機能性分子の回収を容易にして環境負荷低減につなげる.溶存物質等による目的外の消光を抑制し,複雑なin situ校正を簡易化または省略可能な温度分布の定量可視化技術に適用可能な中空マイクロカプセルを開発することを目的としている.具体的には,水溶液を分散媒とした液中乾燥法で発光特性が温度依存性を示す錯体や蛍光物質を殻材に重合し,粒径0.5~4.0μmの中空マイクロカプセルを作成するとともに,作成条件を最適化して感温性中空カプセル作成法を確立する. 平成25年度は,1)感温性金属錯体を重合した中空マイクロカプセルの開発と最適化,2)感温性マイクロカプセルの光学特性評価を行った. 1)では,一種類の金属錯体を含むカプセルに加え,複数の蛍光燐光物質を重合した二波長強度法用のカプセル作成を行った.水溶液にあまり溶出せず,ジクロロメタンにわずかな相溶性を持つアルコールなど他の溶媒に可溶なセンサ物質についてもカプセル作成を行った. 2)では,感温性,単位時間当たりの発光強度,スペクトルに特に注目して評価を行った.粒径分布と寿命についても予備調査を行った. 1)2)について,三種類の殻材,三種類の励起波長について作成条件の最適化と光学特性の評価を行った.約3%/℃の非常に高い感温性を示すものを含め,複数種類の感温性中空カプセル合成に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実施計画において予定していた1)感温性金属錯体を重合したマイクロカプセル開発と最適化,2)感温性マイクロカプセルの光学特性評価を行った.1)では当初予定通り,一種類の金属錯体を含むカプセルに加え,複数の燐光物質を重合した二波長強度法用のカプセル作成を行い,複数種類の機能性中空マイクロカプセル合成に成功した.ジクロロメタンにわずかな相溶性を持つアルコールなど他の溶媒にのみ可溶なセンサ物質を用いたカプセル合成にも成功した.2)では感温性,単位時間当たりの発光強度,スペクトルに特に注目して評価を行った.寿命評価については予備試験までであるが,1)2)は当初より平成26年度も継続する計画であり,特に遅れはみられない. 1)2)について,三種類の殻材と励起波長について作成条件の最適化と光学特性の評価を行った結果,約3%/℃の非常に高い感温性を示すものを含め,複数種類のカプセル合成に成功した.更に,当初計画を超えて,感温性や発光強度,スペクトルに与える溶存酸素の影響についても評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は前年度に続いて1)感温性金属錯体を重合したマイクロカプセル開発と最適化,2)感温性マイクロカプセルの光学特性評価を行い,カプセルの光学特性評価結果をフィードバックしながらカプセル作成法と作成条件の最適化をすすめる.平成25年度は三種類の殻材と励起波長について作成条件の最適化と光学特性の評価を行った.平成26年度は更に励起波長の選択肢を増やし,LED等で容易に励起可能な機能性中空マイクロカプセルを開発する.本研究では一種類の金属錯体を含む寿命法用のカプセル,二波長強度法用のカプセル,燐光寿命による温度評価が可能なカプセルも探求している.寿命が感温性を示すカプセルの作成は実現できたが,予備試験の結果,寿命自体が比較的短く,温度に対する寿命の変化率がやや小さい結果となった.平成26年度はその特性を詳細に確認した上で,二波長強度法用,燐光寿命法用のカプセルのうち,より有用性が高いタイプに注力する. 平成26年度は,カプセル作成法開発と最適化に加え,温度分布の定量可視化計測に適用可能であることを,実証実験で確認する.
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Research Products
(4 results)