2014 Fiscal Year Research-status Report
石炭チャーを直接燃料とするダイレクトカーボン燃料電池の開発
Project/Area Number |
25630064
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 弘達 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40551825)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,活性炭と溶融炭酸塩のスラリーを用いたDCFCセルを用いた発電実験を行うと同時に,単一カーボンを使用したDCFC発電実験を行い,固体炭素の電気化学的な反応メカニズムを明らかにした.従来は,DCFCの発電過程では,完全酸化反応(C + 2 CO32- → 3 CO2 + 4e- (R1)が支配的な反応パスと考えられていた.本実験では,アノード周りのC/CO32-が低い場合は,アノードオフガスの主成分はCO2であり,完全酸化反応(R1)から得られるCO2の生成量の理論値とほぼ一致することを示し,完全酸化反応が支配的であることを示した.一方,アノード周りのC/CO32-が高い場合,アノードオフガスの主成分がCOになり.部分酸化反応(C + CO32- → CO2 + CO + 2e- (R2), C + 3/2 CO32- → CO2 + CO + e- (R3))が発電過程において重要な役割を有していることを明らかにした.部分酸化反応はクーロン効率を低下させるため抑制させることが望ましい.カーボンスラリーをバブリングでかく拌することで,部分酸化反応を抑制することができ,クーロン効率が向上することを明らかにした. さらに押し付け力を制御して,単一カーボン粒子を電極に接触させる発電実験を行い,電気化学酸化反応前後の炭素の観察および表面分析を行った.電気化学反応後は,炭素表面が滑らかになることを示し,電極表面における固体炭素の電気化学反応メカニズムを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,DCFCセルの製作を行い,発電実験に成功し,出力密度向上のための指針を示すことができた.さらに,DCFCセルの発電実験に加えて,単一チャーを用いた実験を行い,固体炭素の電気化学的な反応メカニズムを明らかにできたため,順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,発電性能におけるカーボンスラリーの影響やDCFC内部現象を明らかにし,さらなる出力密度向上を目指す.
|
Causes of Carryover |
平成26年度に,DCFCの発電特性を明らかにし,固体炭素の電気化学反応メカニズムを基にシンポジウムにおいて発表する予定であったが,DCFCの発電特性がカーボンスラリーの分散状態に依存している可能性が生じたため,計画を変更し,カーボンスラリーの分散状態について検討を行うこととしたため,未使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,DCFCの発電特性におけるカーボンスラリーの分散状態の影響解明とシンポジウムでの発表を今年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
|