2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の固有振動特性とマイクロセンサへの適用可能性
Project/Area Number |
25630076
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
森下 信 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (80166404)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 機械工学 / 機械力学・制御 / 動的設計 / 固有振動解析 / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では動物細胞の膜上に存在するタンパク質を有限要素法によりモデル化を行い,固有値解析を行うことで センサタンパク質の固有振動数と固有モードを求めることを目的としていた.並行して行う細胞培養実験により その動的特性の整合性について検討した.タンパク質を質点系に置き換えて有限要素法により解析を行うために,質量の位置および大きさ,質点同士をつなぐ剛性をデータとして与える必要がある.タンパク質としては,細胞膜上にあるタンパク質のひとつであるインテグリンを対象とした.インテグリンの分子量は8000を超えるが,各原子の位置座標はタンパク質のデータバンクで公表されている.質量は原子量を用いた.問題は原子同士をつなぐ剛性であるが,これは分光分析による吸収スペクトルを参考に剛性を決定した.これにより固有値を求めることは理論的に可能であるが,質量行列と剛性行列の各要素の値のオーダーが大きく異なっているために,計算してもすべて誤差の中に結果が埋もれてしまう.これを回避するために,各特性行列のオーダーをあわせて計算し,その後の固有値を導出する段階で補正することとした.さらに,分子に含まれる原子数が大きいために各特性行列の大きさが膨大になる.現時点でこのような大きな行列の固有値を全て精度良く計算できるスキームは存在しないために,ランチョス法を用いて,中心となる固有振動数を変化させながら固有振動数の同定を行った.分光分析では固有モードを得ることはできないが,有限要素法では固有モードも得ることができた.並行して行った実験では分光分析の吸収スペクトルから推定できる固有振動数より遙かに小さな値に固有振動数があることが推定できるが,今回の計算ではまだ分光分析による結果との一致に留まっている.今後さらに検討したい.
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