2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気ビーズを能動的に分散させる新たな手法の提案と実証
Project/Area Number |
25630085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石山 和志 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20203036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁気ビーズ / 生体磁気 / 磁気吸引力 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
○微粒子の作製:磁気ビーズを生体内で使用することを前提として、異方性を有するフェライト系材料で微粒子を新たに合成した。その手法として、化学合成法を選び、粒径分布を制御した微粒子を作成した。また、用いる磁性微粒子の磁化量や異方性の大きさは重要なパラメタであるため、後述の理論考察と連携して遂行した。 ○ラージスケールモデルでの検討:想定するミクロンサイズでの実験に先だってミリからサブミリサイズの永久磁石材料を用いて、粒子の回転運動を利用した吸着と分離に関する検討を行った。その際、高粘性液体中で実験を行うことにより0.01程度のレイノルズ数環境を実現し、ミクロンサイズの粒子の動きを模擬した。永久磁石の強い吸着力に打ち勝って分離できる条件を確立し、磁気ビーズの凝集・分散条件を確立した。これを踏まえ、微小な粒子の分散制御のための基礎検討を開始した。 ○理論的考察:研究代表者らの確立した流体抵抗の算出手法を基にして本研究では、粒子が吸着した際ならびに分散した際に液体から受ける抵抗を算出し、それが吸着した微粒子を分散させるに十分な量となるための条件を算出した。検討が必要なパラメタとして、粒子表面の摩擦、磁気的な吸引力、材料の磁化量、外部磁界の大きさ、回転磁界の周波数、液体の粘性、などを用い、総合的に整理した。 ○粒子表面のコーティングに関する検討:粒子同士の吸着力は磁気力であり、粒子間距離に大きく依存する。そこで本研究では粒子表面のコーティング厚さで粒子間距離を制御することを試みた。まずはシリカによるコーティングを検討し、微粒子表面を均一にコーティングする技術について検討した。さらに、コーティング材料として生体安全性の高い材料の探索と評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の実績欄に記したように、ラージスケールモデルによる実験に成功し、吸着力と回転トルクとのバランスによる粒子分離条件を明確にできており、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
○ 分散実験:平成25年度に作製された微粒子を用いて分散実験を行う。微粒子を種々の粘性を持つ液体中に懸濁させ、そこに回転磁界を与えることにより分散する様子を観察する。回転磁界印加装置は極めて特殊な装置であるが、申請者が本研究のために自由に使用可能である。観察には動的な観察が不可欠であるため、マイクロスコープやレーザー顕微鏡などを用いた粒子の直接観察に加え、懸濁液の光透過特性を評価する方法など複数の手法を利用して分散の様子を精密に観測する。その結果は微粒子作製ならびにコーティング実験にフィードバックする。 ○ 粒子微細化の限界に関する検討:粒子を小さくしてゆくと、ある臨界直径以下で磁性体の持つ物性的特性(超常磁性の出現)により磁化が大幅に低減する。これはスピン間の交換相互作用が熱擾乱に乱され、強磁性体としての特性を失うためである。この臨界直径が本申請で提案した手法が適用できる最小限界のサイズとなることから、その具体的サイズに関する検討を行う。それに加えて、粒子が超常磁性の出現する臨界サイズ近傍で凝集と分散を制御することで、磁気特性を大幅に変えることができると考えられ、磁気物理ならびに磁性材料応用分野における極めて重要な知見が得られる可能性がある。このテーマは、次の新たな学問分野の構築につながる可能性を秘めた新たな挑戦への第一歩としてとらえている。
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