2013 Fiscal Year Research-status Report
神経系の働きを含めた模擬循環器系の構成論構築とその応用
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25630097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅野 重樹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00187634)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 自立ロボット |
Research Abstract |
申請書記載の「老廃物運搬」のための人工血液の組成の検討を行った.老廃物を除去する際,人工血液の燃料・修復材の成分は残しつつ廃棄すべき成分のみを取り出す必要がある.そのため,老廃物をカプセルに吸着させ取り出す方法を提案し,システムの構築を行う.カプセルにはアルギン酸ナトリウム溶液を利用し,この溶液に吸着材を混練することで廃棄物質の吸着ができるカプセルの製作が可能であると考えている.カプセルを循環器系模擬システム内を循環させ,任意の箇所で取り出すことで廃液処理を実現する. 本年度は任意の箇所でカプセルを捕集するシステムの構築を行った.本研究では,数mmの比較的大きいカプセルを製作し,メッシュの異なる2つのフィルターを利用して分離を行った.具体的には,上流にカプセルよりも大きいメッシュのフィルターを設置し,下流にカプセルよりも小さいメッシュのフィルターを設置することでカプセルの捕集を行った.また,効率良くカプセルを廃棄するために,複数箇所でカプセルを捕集する方法を提案した.複数箇所でカプセルを排出する際,各箇所でのカプセル取得量は同じである方が廃棄の効率が良いと考える.そのため,カプセルを等分配することができるか検証実験を行った.2つに分岐する流路中にカプセルを流し,2つの流路間の流量比を調整する実験を行った.実験の結果,流量比に応じてカプセルの取得量が調整できることを確認し,本システムにより老廃物を効率よく廃棄することが可能であることが示唆された. また,工学的な応用例として人工循環器系による物質の運搬を利用した修復する導線とセンサーシステムを考案し開発を行った.これにより循環器系システムは工学的にも有用であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は老廃物を運搬するためのシステムとして,アルギン酸カプセルを溶液にのせて運搬しフィルターで分離することにより,カプセルを捕集する技術の開発を行った.カプセルに吸着剤を混練することで,老廃物の除去を行う.老廃物の運搬手法に目途がたったことにより,研究目的に挙げた(1)エネルギー供給,(2)老廃物運搬,(3)血液凝固による体組織の保護・修復,(4)温度調整の機能を有する多機能一体型システムの構築がほぼ達成されつつあり,おおむね順調に進んでいるといえる.バルブなどを用いて流量を変化させる実験を行い,カプセルの捕集量がコントロールできることを確認した.またカプセルのフィルターによる分離実験の結果より,フィルタリングを効率よく行うためには適切な流速を設定する必要があることを確認した.これらの結果から,現在のシステムにおいて上記の4つの機能は流量と流速で制御でき,コントローラで制御するのは流量と流速であるという目途がたった. 一方で,循環・神経・情動システムの統合および評価に関してはまだ研究が進んでいないため,多機能一体型システムが完成し次第コントローラーを設計し評価を行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
コントローラを設計するためにも,多機能一体型システムを完成させる必要がある.まずは,老廃物運搬のためのカプセルの開発を行う.具体的にはシステムで生成しうる老廃物を精査し,それらを吸着するカプセルの製作を行う.またカプセル分離のシステムに関しても,模擬循環器系の老廃物取得部分にカプセルを捕集することは出来ているが,模擬循環器系の外にカプセルを排出することはできていないため,排出するシステムを開発する必要がある.このシステムに関しては,捕集部の上流と下流をバルブで一時的に閉じることにより,溶液の漏れをできるだけ抑えた上でのカプセルの排出が可能であると考えている. 現在のところ(1)エネルギー供給,(2)老廃物運搬,(3)血液凝固による体組織の保護・修復,(4)温度調整のすべての機能が人工血液の流量および流速により制御されている.そのため,ポンプの出力を変化させたりバルブや管の直径を変化させるなどして,循環器系システムの部位に応じて流量や流速の制御を細かく行えるようにする必要がある.その後,当研究室の神経モデルや情動モデルとのシステムの統合することにより,状況に応じて適切な流量の調整を行うシステムの開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究目的にあげた(1)エネルギー供給,(2)老廃物運搬,(3)血液凝固による体組織の保護・修復,(4)温度調整の機能を有する多機能一体型システムの構築のうち,(1)~(3)の個々の機能についてはほぼ順調に研究が進んだ.しかし(4)のシステム構築については,まだ課題が残っており,完成に至っていない. 多機能一体型システムの完成を急ぎ,コントローラを組み込むことで評価を行う.そのために,老廃物運搬のためのカプセルの開発を行う. 具体的にはシステムで生成しうる老廃物を精査し,それらを吸着するカプセルの製作を行う.またカプセル分離のシステムに関しても,模擬循環器系の老廃物取得部分にカプセルを捕集することは出来ているので,模擬循環器系の外にカプセルを排出するシステムを開発する.現時点で(1)エネルギー供給,(2)老廃物運搬,(3)血液凝固による体組織の保護・修復,(4)温度調整,のすべての機能が人工血液の流量および流速により制御できている.そこで,ポンプの出力を変化させるなどにより,循環器系システムの部位に応じて流量や流速の制御を細かく行えるようにし,そこに神経モデルや情動モデルを統合することにより,状況に応じた適切な流量の調整が行えるシステムの開発を行う.
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