2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池上 知顕 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (20136518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 太陽電池モジュール / 劣化故障診断 / 太陽電池等価回路 |
Research Abstract |
太陽光発電システムの劣化・故障診断はシステムの効率的で安全な運用のために重要である。太陽電池モジュールの寿命は20年以上と言われるが、運転開始後数年内で故障するものもあり、これらの劣化故障モジュールの検知と、劣化故障の要因を調べることは、太陽光発電システムの信頼性改善のために重要である。従来、モジュール特性の測定法としては、電流ー電圧特性や、サーモグラフによる温度分布、エレクトロルミネッセンス(EL)測定などが用いられているが、測定精度や測定環境の制約などの問題がある。 そこで本研究では従来の方法とは異なり、発電動作中の太陽電池モジュール内のセルを外部から電磁気や光により励起し、そのときのモジュール出力応答波形からセル毎の状態を診断する方法の開発を行った。初年度は、診断対象として、保護ガラスにひびが入った破損モジュールを用い、モジュール表面上置いた誘導コイルに40kHzの方形波電流を流し、そのときのモジュール直流出力に含まれる変調波形を測定した。この破損モジュールのEL測定も行い、正常セルと破損セルのEL強度の異なる場所に誘導コイルを置き変調信号を測定した。EL強度が弱い箇所で電圧を誘導した場合、信号波形に大きな歪みが観測され、本手法で異常セルの検出が可能であることが確認出来た。 高感度3軸磁気センサを用いて、モジュール表面の磁束密度分布を測定した。破損セルでは3本のバスバー近傍での磁束密度に相違が見られ、バスバーを流れる電流が不均一出あることが確認できた。今後、磁束密度分布からセル内の電流密度分布を求める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
太陽電池モジュールの外部励起方法として、誘導コイルを用いる方法の実験とその有用性は確認出来たが、当初予定していたパルス光のセル照射と透明電極にパルス高電圧を印加する実験は実施できなかった。電子負荷を購入し太陽電池モジュールの静的な電流―電圧特性の測定を行ったが、計測プログラムの開発が遅れたため、購入した4象限のバイポーラ-電源により負荷電流を変調させて動的な電流―電圧特性を測定し、交流等価回路のモデルパラメーターを求めるまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
測定対象として保護ガラスが破損し、セルも大きく破損したモジュールを用いたが、長期間の運転による自然劣化や故障したモジュールの入手を試みる。外部からのセルの光学的励起方法として、変調した高輝度レーザー光をセルに入射させ、この時の出力端子の応答波形を測定する。劣化モジュールを含む数枚のモジュールを直列接続したストリングを対象として、本手法を用いて劣化モジュールの検出と、故障モジュール内の異常セルの検出を試みる。劣化故障モジュールのより正確な交流等価回路モデルとパラメータを推定し、劣化故障モジュールを含むストリングの出力特性をシミュレーションできるプログラムを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外部から破損した太陽電池モジュールの提供を受けたため、新規に購入した太陽電池モジュール数が減ったためと、光励起による実験の進捗が遅れたため、それに関連する物品を購入しなかったため。 主に回路部品の購入と学会発表旅費のために支出する。
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Research Products
(1 results)