2014 Fiscal Year Annual Research Report
曖昧な界面をもつナノ液晶ドロップレット分散高分子の高速光デバイス応用
Project/Area Number |
25630125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50204186)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 液晶 / 高分子 / 複合膜 / 電気光学効果 / 相分離 / 光重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
液晶デバイスの高速化を目的として、微小空間に液晶を閉じ込めた構造のデバイス開発が盛んにおこなわれている。しかしながら、微小な空間に液晶を閉じ込めると、分子の運動性が悪くなり、駆動電圧の上昇や応答性の低下を招くという問題がある。そこで、本研究では、液晶と高分子の複合体において、明確な液晶/固体界面をもたない「曖昧な界面」で囲まれたナノ空隙を持つデバイスを提案し、液晶分子の運動性と高速応答性とを両立させることを目指している。本研究のポイントは、高分子を形成する基となるモノマーに、液晶性の分子を用いることであり、光重合性液晶と通常の液晶とを混合した系をあらかじめ分子配列させて、その後紫外線を照射することにより、ナノスケールの相分離状態が実現でき、しかも曖昧な界面が形成されるところにある。本年度は、本年度は、光重合時の温度の効果を調べ、低温で光重合をおこなうことにより、モノマー濃度が10w%以下の低場合であっても、電界印加によっても全体の分子配列は保たれることを明らかとした。その結果、光に反応しない通常の液晶の割合が高くでき、しかもナノ空隙を形成できるために高速応答(数十マイクロ秒)が実現できる。また、コレステリック液晶を採用し、キラルドーパントの濃度依存性を調べ、電界応答の閾値がキラル濃度、すなわち螺旋ピッチに依存しないことを明らかにした。一般に、コレステリック液晶では閾値電界は螺旋ピッチに反比例するが、今回の結果から、コレステリック高分子ナノ複合系では、螺旋が解ける運動ではなく、微小空隙内での分子再配列が、電界光学応答に寄与していることを明らかにした。
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