2013 Fiscal Year Research-status Report
窒素デルタドープGaAsからの波長均一オンデマンドもつれ光子対放出の実現
Project/Area Number |
25630126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 隆 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 幸弘 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10554355)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薄膜・量子構造 / 不純物 |
Research Abstract |
大きな遷移双極子モーメントを持つ物質中の局所電子状態は光子と固体との量子インターフェースを構築する上で不可欠であり、これを利用した究極的な光子操作は、量子通信にかかわる未来型デバイスの基礎原理には欠かせない。従来から研究されている自己形成量子ドットとは異なり、半導体中不純物に束縛された励起子は究極の量子ドットであり、発光波長は不純物固有なので均一である。本研究ではわれわれが開発したGaAsへの窒素デルタドーピング技術を利用して2次元に配列した窒素束縛励起子を作製し、歪ポテンシャル制御を通じて均一発光波長で0.85μm光通信バンドで動作するオンデマンド量子もつれ光子対生成を実現する。また、マイクロキャビティと融合させてもつれ光子輻射性能を連続的に制御する技術を開発する。平成25年は配列した不純物を用いた新しいコンセプトの量子ドットとしてふるまう配列励起子ナノ構造を作製し、励起子微細構造偏光分離特性基礎光物性を明らかにした。励起子微細構造を制御するために、不純物に加わる結晶場の制御や電場・磁場による交換相互作用の精密制御を実施した。具体的には、Q値を制御したキャビティ構造を作製して電子状態と共鳴するキャビティー構造を最適化した。また、分子線エピタキシー結晶成長技術を駆使してGaAs(001)(2×4)再構成表面にプラズマセルで生成した原子状窒素を吸着させた。(001)2次元面内の窒素濃度を変化させて、濃度に応じた電子状態の変化を磁気発光特性によって明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(001)2次元面内で窒素濃度を変化させたときの電子状態の変化において、非常に顕著な0次元から2次元への物性変化(転移)を確認することに成功した。これは当初予定していない範囲のことで、濃度による電子状態の制御が非常に精度よく実現できることを実証したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を変更することなく以下のように研究を進める。 成26年にはマイクロキャビティによる光閉じ込めを行い、均一な励起子数に依存した励起子-光結合速度の制御を通じてもつれ光子対放出の輻射性能を制御する。本研究の特徴は、電子状態が均一な窒素束縛励起子を利用することによって、これまでは不可能であった励起子の歪ポテンシャル制御によるもつれ状態を創り出すことを可能にするだけでなく、励起子とキャビティフォトンのスケーラブルな相互作用によって輻射性能も制御できる。具体的には、はAlAs/GaAs DBR構造によりQ値を10000程度まで制御したキャビティ構造を作製して、窒素ペアの高均一な電子状態とキャビティフォトンの結合に関わる基礎科学を明らかにし、マイクロキャビティの作製と光子放出特性の詳細な評価を実施する。また、輻射性能の制御による高効率もつれ光子対放出デバイスの試作する。さまざまなQ値のキャビティ構造を作製し、励起子-キャビティ結合速度のスケーラビリティーをラビ分裂幅や輻射緩和時間の変化を通じて観測する。輻射性能の変化を蛍光寿命測定で明らかにする。サブマイクロメートル径のDBRマイクロポストキャビティを作製して、ドットからの光子は波数選択則が無いのでキャビティモードと結合させることで指向性のあるもつれ光子対放出を実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度予算と合算して使用するため。 平成26年度予算と合算して速やかに使用する。
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