2013 Fiscal Year Research-status Report
自然反応の模擬・進化による金属表面上強誘電圧電性膜の直接形成
Project/Area Number |
25630128
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鄭 旭光 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40236063)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 水酸塩化物 / 強誘電性メカニズム / 腐食薄膜 |
Research Abstract |
本提案研究では金属の腐食によって自然に水酸塩化物ができる特性、及びこれら物質の生体親和性を重視し、自然反応の模擬・進化によって、電子デバイス化と生体工学に応用可能な強誘電圧電性膜の金属基板上直接形成の技術の確立を目指すことになっている。 上記目的達成のために平成25年度は電気化学的手法により金属の腐食過程を調査しており、人工的な腐食により銅水酸塩化物ができることを確認できている。同時に同物質のバルク水酸塩化物での強誘電性のメカニズム調査にも着手した。後者の方についてはミュオン分光法により新型強誘電体のダイナミックスを探査した。マルチフェロ物質Co2(OD)3Clについて誘電率測定結果から、T = 229 Kで強誘電類似の異常ピークの観察及び結晶構造解析による格子定数の温度変化の結果を合わせて考えれば、重水素(D)の秩序化に伴う強誘電転移することが原因と考えられる。このような背景において、ミュオンスピン分光測定実験を行った。この結果から、重水素原子の核磁場の時間変動率は強誘電転移温度付近で変化することが分かった。Co2(OD)3Clの強誘電転移に向かって物質中の重水素原子が高温での動的振舞いから、準静的なものへ変化することが判明した。上記の水素量子原子効果の実在を示唆する実験結果について学会発表を行った(日本物理学会第69回年次大会講演概要集第69巻第1号943頁)。さらにラマン振動モードの波数とピーク幅の温度変化等を詳細に調べた結果、強誘電相転移に伴う格子振動の異常を観察した(日本物理学会第69回年次大会講演概要集第69巻第1号918頁)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本提案研究では金属の腐食によって自然に水酸塩化物ができる特性、及びこれら物質の生体親和性を重視し、自然反応の模擬・進化によって、電子デバイス化と生体工学に応用可能な強誘電圧電性膜の金属基板上直接形成の技術の確立を目指すことになっている。 上記目的達成のために平成25年度は電気化学的手法により金属の腐食過程を調査しており、人工的な腐食によりまず銅水酸塩化物ができることを確認できている。強誘電性を示すコバルト水酸塩化物薄膜の形成はこれからの実施となるが、銅水酸塩化物同様な形成は可能と思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は電気化学的手法により金属の腐食過程を調査しており、人工的な腐食によりまず銅水酸塩化物ができることを確認できている。強誘電性を示すコバルト水酸塩化物薄膜の形成はこれからの実施となるが、銅水酸塩化物同様な形成は可能と思われる。今後はコバルト水酸塩化物薄膜の形成条件を割り出し、薄膜での強誘電性評価を進めたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は主にメカニズム調査及び安価な銅水酸塩化物系薄膜の成長を行ったため、コバルト系水酸塩化物の薄膜成長のためのコバルト系金属基板の消耗が少なかった。また、薄膜作製条件の精密かも26年度で行う予定になったので、受領した金額の内の48万円を26年度に回した。 コバルト系水酸塩化物の薄膜成長のためのコバルト系金属基板の購入、及び基盤研磨等に補助金を使用したい。
|