2013 Fiscal Year Research-status Report
非晶質からの結晶化と超多周期人工積層構造創製技術を融合利用したFeNi磁石の開発
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25630129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福永 博俊 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10136533)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁性体 / Fe-Ni / 磁石 / 規則化 / 結晶化 |
Research Abstract |
Fe-Ni合金に添加物を加えた三種類の非晶質合金(以後,合金A,合金B,合金Cと呼ぶ)を用意し, 310℃,330℃,350℃で等温熱処理を行い,L1_0規則相Fe-Niへの結晶化条件を探索した。 (1) 合金Aおよび合金Bはいずれの温度においても fcc構造へと結晶化したが,結晶化領域は合金表面から 1~3μm 程度までに限られていた。合金Cについては,330℃以上の温度での熱処理では多相状態へと結晶化した。 (2) 合金Aについては,結晶化によって,異方性磁界の増加が見られた。結晶化部分の異方性磁界は10~15 kA/mと見積もられ,L1_0規則相Fe-Niの異方性磁界に比べて遙かに小さい値であった。また,350℃で 8×10^4 min 熱処理を施した試料においても,X線回折による L1_0規則構造の同定には至らなかった。 (3) 合金Bに対する350℃での熱処理では,熱処理時間の増加と共に保磁力が増加し,9×10^4 min の熱処理では,800A/m を超えた。結晶化した合金の表面10μm程度を剥ぎ取り,その部分のみの磁気特性を評価したところ,10kA/m程度の保磁力が得られた。350℃で 9×10^4 min の熱処理を経験した合金Bにおいては,X線回折により,L1_0規則相の(001),(110)からの反射と指数付けできるピークを確認できた。今後,結晶化した部分のみの磁気特性の評価と詳細な構造解析を進める必要がある。 (4) 合金中に占める結晶化部分の割合を増加させるために,PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて,超多周期人工積層構造非晶質薄膜を作製する装置を完成させた。この装置を利用して,結晶化部分の割合を増加させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究で計画した3つの合金について,熱処理温度,結晶化時間と析出結晶相の関係について明らかにすることができた。また,少量ではあるが,本研究の目的物質であるL1_0規則構造Fe-Ni合金と考えられる物質の合成に成功している。 さらに,合成量の増加に向けて,超多周期人工積層構造非晶質薄膜をPLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて作製する装置を完成させている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究において,の合成が期待される添加物を絞り込むことができたので,平成26年度の研究においては,合金B系に絞って,より短時間でL1_0規則相を合成できる条件を明らかにすると共に,結晶化部分だけの磁気特性を明らかにする。 さらに,平成25年度に完成させた超多周期人工積層構造非晶質薄膜作製装置を用いて,全体がL1_0規則相に結晶化した,Fe-Ni合金の創製を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要経費を支出する際に端数が生じたが,年度末に端数調整のための物品を購入しなかったため。 前年度からの繰り越し額は,今年度の資金と合算して使用する。繰越額は4,438円と少額であるので,研究の進捗に影響を及ぼすことはない
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Research Products
(2 results)