2013 Fiscal Year Research-status Report
円筒ブラッグ反射導波路を用いた面発光レーザ用波長変換素子とその集積化の研究
Project/Area Number |
25630136
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 智紀 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50554086)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 波長変換素子 / ブラッグ反射導波路 / 面発光レーザ |
Research Abstract |
本研究の目的は、円筒ブラッグ反射導波路に円筒全反射導波路を組み込むことで面発光レーザ用化合物半導体波長変換素子を開発することである。今年度は素子の設計と同素子の作製に取り組んだ。 GaAs/Airブラッグ円筒導波路の導波モード解析を有限要素法を用いて行い、ブラッグ反射モードの探索と全反射モードの探索には成功した。しかしながら、素子構造のパラメータ(ブラッグ周期やコア径など)を変化させても、ブラッグ反射モードと全反射導波モードとの共存条件を未だ探しきれていない。このことから位相整合条件の探索が難しいことが明らかとなった。 作製に関しては、まず平行平板型反応性イオンエッチング(RIE)によるGaAsのエッチングプロファイルの垂直性の探求及び既存導波路の作製を目指した。RIEエッチング条件(ガス流量とRFパワー)を最適化したところ、垂直を維持したGaAsエッチングプロファイルを実現するための条件を確立した。現在のアスペクト比が0.25程度であるが、これは導波路作製用リソグラフィーで条件を確立したためであり、マスク幅を狭くすればアスペクト比の向上はある程度容易であると考えている。一方、RIEエッチングによる導波路の低損失化は、周期空間反転導波路のリッジ作製においてウェットエッチングとほぼ同等の低伝搬損失を実現することに成功した。また、反転積層リブ導波路のRIEエッチングによるリブ作製に初めて成功し、導波光を初めて観測した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
波長変換素子の設計と性能予想は、当初の目標より遅れいている。その遅延の原因は、位相整合条件の探索が困難だったからである。 設計中の素子はGaAs/air円筒ブラッグ導波路であり、1.55 umポンプ光入射に対して2~4 um帯シグナル光アイドラ光を発生させる光パラメトリック発生素子である。各光に対する導波モード(ポンプ光のブラッグ反射モード, シグナル光/アイドラ光の全反射モード)は探索できたたものの、導波モード間の等価屈折率の関係である位相整合条件を見つけ出すことが困難であることが明らかになった。GaAs/air円筒ブラッグ導波路の作製の容易さというメリットを生かすために、この導波路において時間をかけて徹底的に位相整合条件の探索したために、遅延が生じたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の設計は材料系を変えて位相整合条件を探索することとする。昨年度取り組んだGaAs/air円筒ブラッグ導波路からGaAs/AlGaAs円筒ブラッグ導波路やGaAs/SiO2円筒ブラッグ導波路などair層を別の材料に置き換えることで位相整合条件の探索を行う。平板型AlGaAsブラッグ反射導波路では位相整合条件が満足されているために、GaAs/AlGaAs円筒ブラッグ導波路では位相整合が達成できると考えている。しかし、作製の容易性を考えて、GaAs/Air円筒ブラッグ導波路構造にSiO2スパッタをするだけで容易に実現できるGaAs/SiO2円筒ブラッグ導波路の位相整合条件を探索する。 また素子作製においては、円形も描画可能な電子線描画装置と誘導結合型反応性イオンエッチング装置が導入されることから、飛躍的な作製精度と作製歩留まりの向上が期待できる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
素子評価用の1.55 um帯波長可変レーザが故障したため、その購入に充てるため前倒し申請をした。平成26年度の消耗品費を確保するために、平成25年度の消耗品費を節約したためである。 研究に必要な備品を準備したため、消耗品などの物品費、成果発表用の旅費と論文出版費に充てる予定である。
|
Research Products
(3 results)