2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 大輔 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (70634096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノデバイス / ナノギャップ / ナノエレクトロニクス / Casimir効果 / 無電解金めっき / 微細電極 / 光ミキサ / テラヘルツ波 |
Research Abstract |
本研究の目的はCasimir効果を利用した高感度NEMS(Nano Electro Mechanical Systems)物理センサの原理検証であり,研究実施計画に基づいて平成25年度ではCasimir効果による引力と斥力を工学的に制御できるナノ構造体の理論解析を主に行いました。具体的には,ナノスケールの平行平板型微小機械構造において,これまでの先行研究で報告された2枚構造に対して3枚構造とすることで圧力センシングなどの感度を向上できる見通しを得ました。平成25年度後半にはCasimir効果が支配的となるナノギャップを有する超微細電極の作製プロセスに取り組みました。プロセス開発において,東京工業大学応用セラミックス研究所の真島豊教授が所有する実験装置(電子線描画装置,電子顕微鏡,電子線蒸着器,無電解めっき装置など)を使用させていただきました。シリコン基板上に無電解めっきを用いることで,金の超微細櫛歯型電極(電極間隔:10nm~100nm,厚み:50nm~100nm)を作製しました。本手法は,従来のフォトリソグラフィ技術や集束イオンビーム加工技術による作製法よりも電極ギャップの微細化が可能であり,さらに,高アスペクト比や基板ダメージ低減などの利点があります。今回作製した微細電極構造は,Casimir効果を利用したデバイス以外にも,例えば光ミキサによるテラヘルツ波出力の増強やNEMS静電アクチュエータ/静電容量センサの低電圧化・高感度化など,他のエレクトロニクス研究への幅広い応用が期待できます。今後の研究ではCasimir効果を用いたセンサだけでなく,金の超微細電極による新規ナノエレクトロニクスデバイスの幅広い探究も視野に入れています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の初年度計画は理想構造体の解析モデルを利用したシミュレーションであり,これは研究協力者の合田圭介教授(東京大学)の研究グループと共同で行いました。また,本研究で用いるナノデバイスを作製するプロセス技術も開発中であり,現在までに金の超微細櫛歯型電極の新たな作製法を提案・実施しました。以上により,上記の達成度として自己評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果により,ナノデバイスの作製プロセスの精度向上と3次元可動構造の実現が課題となりました。今後はデバイス作製技術の向上と試作デバイス評価を重点的に行う予定です。ナノデバイス開発にあたり,可動構造が無くても新機能素子として評価できるように併せて検討を進めて参ります。なお,当初の研究計画でも平成26年度は実デバイス作製と評価を研究内容として挙げているため,研究計画の大幅な変更はありません。
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