2013 Fiscal Year Research-status Report
環境適応型エネルギーハーベスティング回路技術の研究
Project/Area Number |
25630140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮原 正也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90551705)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 集積回路 / 低消費電力 / エネルギーハーベスティング |
Research Abstract |
本研究では、極低電力シリコンCMOS回路技術を用いてエネルギーハーベスティング回路の動作状態をモニタリングし、適応的に回路パラメータを変化させることで環境変動が激しい場合においても安定した電力効率を実現するためのシステムを開発することを目的している。エネルギー回収の対象は電磁波、光、熱、振動、圧力とあるが、本システムはDC電圧を発生させるエネルギー回収素子を対象としている。また、エネルギーハーベスティング回路の構成としては、パワーマネージメントユニット(PMU)、DC-DCコンバータ、モニタリング用ADC及びアナログ比較器からなる。本年度はシステムに必要となる消費電力の内訳を検討した。 PMUは市販マイコンから構成され、動作周波数を100kHzとしたときのデータシート上での消費電力は2.6μWとなった。DC-DCコンバータについてはスイッチング周波数を10kHzとした場合のアナログスイッチをON/OFFさせる消費電力と抵抗値の関係から、駆動電力と損失を見積もり、30nWが得られた。モニタリング用ADCについては、エネルギー回収素子の環境の時間変化が大きくない場合においては、モニタリング用ADCの動作周波数はそれほど高くなくてもよい。仮に動作周波数が1kHzでよい場合においては、消費電力は70nWとなる。降圧型DC-DCコンバータは負荷回路に安定した電圧を供給する必要があるため、それなりに高い周波数での制御が求められる。仮にDC-Cコンバータの動作周波数を10kHzとした場合のアナログ比較器の消費電力は1nW程度である。 以上の考察から、最終的なシステムの消費電力は2.69μW程度となる見込みであり、そのうちの大半は2.6μWの電力を消費するPMUで占められている。今後はPMU部分については必要な機能だけを残して最適化し、消費電力を下げる努力が必要な状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画においては、PMUについて市販のものを用いる予定であったが、システムの消費電力を検討したところ際立って電力消費量が大きいため、改善が必要となった。このためPMUについては専用の回路設計が必要であり、この分の開発が新たに必要となったため、若干計画が遅れている。その他の要素回路については順調に設計が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PMUの最適設計を行い、システムシミュレーションを再実施する。また、回路設計が終了している要素回路については試作を行い、評価を行うことこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度にシステムシミュレーションを行い性能が満足することを確認したうえで試作を行う予定であったが、システムシミュレーションを行った結果、一部回路について消費電力の仕様を満たさないことが判明した。 このため計画を変更し、消費電力を削減するよう設計変更を優先的に行った結果、回路の試作まで行うことができなかったため、未使用額が生じた。 このため消費電力の削減を実現する設計変更の残り分と、集積回路の試作を次年度に行うこととし、未使用額についてはその経費に充てることとしたい。
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