2014 Fiscal Year Research-status Report
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25630152
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
丹治 裕一 香川大学, 工学部, 教授 (10306988)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シミュレーション工学 / 高密度実装 / 高速伝送回路設計 / システムオンチップ / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(株)半導体理工学センターと共同開発した回路シミュレータFALCONを用いて、回路と電磁界を混合して解析する手法について検討を行った。電磁界解析と回路解析の混合は 非線形デバイスで終端された大規模RLC回路を効率良く解析する方法に基づく。この方法では、CMOS回路が含まれる非線形部分と大規模なRLC回路に対応する線形部分を分割し解析を行っている。非線形部分の回路規模は線形部分に比べ非常に小さいことが仮定されており、解析時間は線形部分の解析に依存する。電磁界と回路の混合解析を行うために、上記のRLC回路を電磁界解析におけるFDTD法に対応させて解析を行う方法を検討した。FDTD法における電界、磁界をそれぞれ積分することによって電圧、電流を求め、回路側の応答を得る方法について検討を行った。数値計算を行ったところ、効率良く解析を行うことができた。 さらに、電磁界解析において非線形素子の容積を考慮する方法についても検討を行った。従来の電磁界解析法では、素子が非線形となる場合にはその容積を考慮することが困難であったが、提案手法によりこの問題を解決した。 昨年度の実施項目として、電磁ポテンシャルを用いた散乱行列の計算法が課題として残されていた。この検討のため、詳細な文献調査を行った。その結果、電磁ポテンシャルが求められても、散乱行列の計算に必要となる電流にはその結果が反映されないことが分った。ゆえに、散乱行列の計算には電磁ポテンシャルは利用できないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実施計画では、FDTD法に基づいた電磁界解析部分を並列化する予定であった。そこで、通常の共有メモリ型の計算機上への実装としてOpenMPを用いた並列化を行ったが、分散メモリ型の計算機間通信を用いる方法については、他の実施項目に多くの時間が必要であり実施できなかった。そこで、次年度、この検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、最終年度は本年度に開発を行ったOpenMPによる並列化ソフトウェアの評価を行うことになっていた。さらに、電磁界解析部分のGPUによる並列化を行うことになっていた。しかしながら、GPUに関する情報を集めたところ、回路解析で用いられているFALCONはGPUとの親和性が乏しいことが分った。FALCONでは数値演算パッケージとして、インテル・マス・カーネルライブラリを用いているが、GPUと共にこのライブラリを使用できないことが分った。そこで、方針を変更してインテル社が提供しているXeon Phiプロセッサの利用を検討する。Xeon PhiはGPUと同様に多くの計算コアを有しているため、演算効率に優れていている特徴を持つ。さらに、インテル・マス・カーネルライブラリの利用も可能であるため、本研究が行う電磁界・回路の混合解析には最適である。それゆ、Xeon Phiプロセッサを搭載したワークステーションを購入し、混合解析ツールの開発を行いその評価を行う。 また、本年度実施できなかった分散メモリ型の計算機間通信を用いた電磁界解析部分の並列化についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
請求額と使用額で僅かな差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は僅かであり、次年度の使用計画に変更はない。
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Research Products
(5 results)