2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノスケール高感度電圧電流計測のための導電性プローブ顕微鏡システムの構築
Project/Area Number |
25630168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 勝久 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20403123)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 導電性プローブ顕微鏡 / CAFM |
Research Abstract |
本研究で作成するシールド付き導電性プローブの変位電流抑制効果の評価の準備として、導電性プローブの寄生容量評価のための標準試料(1cm角5 nm熱酸化膜付きn-Si基板)の作製を行った。また、本研究で用いる導電性プローブ顕微鏡装置、及び市販品のシールド構造を有しない一般的な導電性プローブの寄生容量の評価を行った。その結果、導電性プローブ顕微鏡システムのみの寄生容量は約23 fAであり、市販品の導電性プローブと標準試料を使用した場合の寄生容量は約843 fAであることが分かった。このことから、導電性プローブとプローブホルダに起因する寄生容量が電圧電流測定時に流れる変位電流の主な要因であることが分かった。次に、電極面積を約80 %削減した導電性プローブを作成し、導電性プローブの電極面積が寄生容量に与える影響を調べたところ、電極面積を80 %削減しても、寄生容量はわずか4%しか減少しないことが分かった。これは、寄生容量の主要因が、プローブ先端の電極面積またはプローブホルダにあることを示唆している。これらの結果からも、本研究で提案しているシールド付き導電性プローブが変位電流抑制に有効であると期待できる。次に、シールド付き導電性プローブの作成プロセスの開発を行った。市販のPt/Irコートプローブの上面にプラズマCVDによりSiO2層を成膜し、Ti/Au層をプラズマスパッタにより蒸着した。その後、FIBによりプローブ先端のTi/Au層をエッチングし、BHFウエットエッチングによりプローブ先端のSiO2層を除去することでシールド付き導電性プローブを作成した。その結果、プローブ先端直径約6 um以外シールドで覆われた導電性プローブ構造の作成が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本年度中にシールド付き導電性プローブによる変位電流抑制効果の評価を行う予定であった。本年度に開発した作成プロセスによって、シールド付き導電性プローブ構造の作成は可能となったが、スパッタ蒸着時の蒸着材料の回り込みによって、シグナル電極とシールド電極が電気的にショートしてしまうことが明らかになった。そのため、シールド付き導電性プローブの変位電流抑制効果を評価できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで市販品の導電性プローブをベースとしてシールド付きプローブの作成を行ってきたが、市販品の導電性プローブはプローブ全面にシグナル電極となるPt/Ir膜が蒸着されているため、シールド電極を蒸着する際にショートすることが分かった。今後は、市販品のSiプローブにスパッタ蒸着により電極面積を制限したシグナルラインを作成することにより、シールド電極とのショートを防ぎ、シールド付き導電性プローブの完成を目指す。また、プローブホルダに起因する寄生容量成分も無視できないことが考えられるため、プローブだけでなくプローブホルダの改良も検討する予定である。
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