2014 Fiscal Year Research-status Report
ディスクリートアナログ電子回路部品だけを用いた量子計算機実現の試み
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25630169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深津 晋 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60199164)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アナログエレクトロニクス / ディスクリート部品 / 周波数基底 / 量子計算 / 制御NOTゲート / 回転ゲート / カスケード接続 / グローバー量子検索アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、周波数分割多重方式の古典通信用ハードウエアを活用した量子通信への拡張を目標に、アナログエレクトロニクスのディスクリート部品と正弦波電圧信号を利用したシミュレータを構築し、新しい量子計算ハードウエア実装(「安価に」「平易に」「即納の」)の検証を目指している。平成26年度では、能動素子を組み込んだ98%以上の忠実度をもつアクティブ制御NOTゲートと回転ゲートを基本構成ブロックとしてこれらのカスケード接続を試み、実装で2ビットまでのゲート動作検証を行った。さらにこの結果をもとにグローバー量子検索アルゴリズムの実装とその動作検証を目指した。実装部品の特性を反映させた予備的な回路シミュレータによる仮想実験においては、1回の検索動作において5, 10, 15, 20kHzの2ビット周波数基底に対して弁別比が3から20の間でターゲット位置同定が可能である結果を得ることができ、実装に向けて重要な足がかりを得た。さらにこれらの結果を光通信周波数帯へと拡張すべく周波数基底による量子ゲートの構築を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アナログエレクトロニクス用ディスクリート部品を用いた基本量子ゲート2種の構築についてはここまで順調に研究が進展してきた。しかし、最終的な目標であるグローバーの量子検索アルゴリズム搭載専用回路の構築と実装を行うステージでは、動作の予備検証としてシミュレータレベルで2ビットの検索を実行できたものの、実装のための回路部品が多数におよんだことから個別モジュールの構築と動作の検証実験に予想以上の時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にそってグローバーの量子検索アルゴリズム搭載のための電子回路実装を全力で推進する。部品の特性ばらつき抑制の観点から、必要に応じてチップ部品への移行、モノリシック部品投入の可能性もあわせて検討する。さらに当初計画で触れた量子通信を行うための古典通信プラットフォームの整備を試みるべく、現状kHz帯の動作帯域をGHz帯へ拡張するための実装を検討する。
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Causes of Carryover |
グローバー量子検索アルゴリズム検証の実験において実装回路部品の精度とそれにともなう動作の確保に問題が生じたため、当初計画よりもさらなる高精度の部品への変更と部品搭載用基板デザインそのものを更新することが目標達成の上で必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基板デザインを更新した上で高精度ディスクリート部品の購入と、状況によってはチップ部品への切り替えを模索し、必要数を購入する。また、検索アルゴリズムの検証に必要でありながら動作周波数帯が流動的であったために導入が進まなかったシグナルアナライザの購入に充てる予定。
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