2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 洋介 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20283343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光非線形ヘテロダイン / 二光子吸収応答 / 分光 |
Research Abstract |
CO2、NOxガスなどの環境測定や、高速ガス流体の流速測定など、分光スペクトルを広帯域かつ高分解能で測定する技術が求められている。これまでの高精度分光法では、ヘテロダイン検波を用いる手法が検討されている。しかし、ヘテロダイン検波では、一般にGHz以上の広帯域化は難しい。そこで、本研究では受光素子の光非線形効果を利用した『光非線形ヘテロダイン検波』を新たに提案した。提案する検波手法は、従来のヘテロダイン検波の帯域を2 桁以上凌駕する10 THz (100 nm)の広帯域性が期待できる。本研究では、その実現に向け、光非線形ヘテロダイン検波技術の原理確認と実証を行い、更に、高性能スペクトル計測装置へ応用することを検討課題とした。初年度の25 年度は、波長1.5 マイクロメートルの近赤外レーザにより、光非線形ヘテロダイン検波に使用するSi 受光素子二光子吸収応答の広帯域性を確認した。その上で、ロックインアンプと光アンプの併用により、20 dB以上のダイナミックレンジを実現した。同時に、THzオーダーで周波数が異なるプローブ光と局発光を用いてヘテロダイン検波を行う本手法が、分光計測のみならず、長距離光ファイバ中の反射点計測を含む広ダイナミックレンジなレーザ測距へ応用可能なことに思い至り、原理実証を行った。この実験では、50 km以上遠方の反射点検出に成功している。これらの検討により、THzオーダーの周波数差を持つ光のヘテロダイン検波を確認し、次年度以降の研究の基礎を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である二光子電流検出のダイナミックレンジの拡大、THzオーダーの帯域の確認の後、光非線形ヘテロダイン検波の実証まで行っており、計画は順調に進んでいる。分光計測以外に、広大なミックレンジなレーザ測距への応用についても実証することができ、当初の計画を超えた成果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、提案する分光システムの実証と評価を行い、その有効性を検証する。要素技術として、光周波数の広帯域化のための光周波数コムについての検討を推し進める。また、本研究で提案した非線形ヘテロダイン検波の応用分野について、当初の目的である分光計測に加え、前年度に実証した距離計測や、更なる応用分野の拡大を検討したい。
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Research Products
(4 results)