2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールの模型流路を用いた収縮機構の検討に基づく無収縮コンクリートの開発
Project/Area Number |
25630183
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 雄也 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40624531)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | コンクリート / 無収縮 / 模型流路 / 圧縮成形 / 化学結合 |
Research Abstract |
コンクリートの乾燥収縮の機構に基づいて、無収縮コンクリートを開発することを目的とした。機構としては毛管張力による収縮の際に壁面同士が接触することで化学的な結合が生じるという解釈に基づいている。当初の計画ではマイクロ/ナノオーダーのサイズの流路を有するガラス基板を用いて収縮機構の検討を行う予定であったが、コンクリートとガラスでは接触した際に生じる結合や結合に必要なエネルギーが異なるため、まずコンクリートの空隙壁面と同様の性状を有する流路の作製を試みた。流路の作製方法として、表面に空隙のないセメントペーストを作製し、そこに溝を掘り、ガラスと張り合わせるという方法を試みた。低水セメント比のセメントペーストを打設直後から高圧環境で養生することで、流路作製位置に空隙のないセメントペーストが作製できることを、原子間力顕微鏡で確認した。流路切削は微細加工装置により行った。ガラスとセメント硬化体の接着は、両者を接触した状態で水中に浸漬し、界面に水酸化カルシウムを析出させた後にオートクレーブ処理することで行った。以上の、特に接着方法に関する検討において、硬化したセメントペーストやコンクリートは、粉砕しても圧縮成形することで再び一体化して強度を発現することを確認した。乾燥収縮の原因はコンクリート作製の際に練り混ぜられる水分の逸散であるため、上記の圧縮成形によるコンクリートの作製は、乾燥収縮を根本から回避する手段になりうると考えた。ただし、材齢2年程度のコンクリートを粉砕して圧縮成形しても、にじみ出た水が乾燥することによる収縮が生じた。そこで、圧縮成形前に乾燥処理を行ったところ、40℃で24時間乾燥した場合には、気中でやや膨張し、105℃で乾燥した場合には大きく膨張するなど、圧縮成形前の乾燥処理により体積変化挙動を制御し、無収縮コンクリートが作製できることを確認した。
|
Research Products
(2 results)