2014 Fiscal Year Annual Research Report
公共事業実施体制における技術公務員の役割の変遷とその経済学的分析
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25630186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 一雅 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80194546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 建設マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の公共事業の実施体制は、建設産業の発展とともに大きく変化してきた。調査計画段階から設計施工、維持管理の全ての段階において、インハウスエンジニア(技術公務員)がその中心的役割を果たしつつ、各段階における作業は、入札契約の手続きを通してアウトソーシングが大幅に導入されている。さらに、行政組織の効率化を背景として、調達の範囲は時代とともに拡大している。一方で、行政組織における各種手続きは、その組織規定が整備されることにより、より複雑化、硬直化が進んでいると言われている。本研究では、公共事業実施機関として、国、都道府県および市町村の代表組織を抽出し、公共事業の実施体制における技術公務員の役割の変遷を聞き取り調査によって抽出し、これらの結果に基づき、調達に要する市場取引コストと組織内部で発生する取引コストを技術公務員が提供するサービスとともに把握した。比較的早期から設計施工の段階にはアウトソーシングが導入され、調査計画段階、さらに維持管理段階に民間企業によるサービスが導入されている。建設コンサルタントおよび建設会社によって提供されるサービス内容を調査することにより、公共事業の実施プロセスにおける、公共発注機関と建設産業の間の取引コストとサービスの関係は、技術公務員が専門職として保有する技術力が低下するに伴い取引コストが増大し、契約の運用の中でバランスが図られてきたものと推察される。あわせて、海外の公共事業実施体制との比較を行った結果、我が国の技術公務員を行政組織の中で活かすためには、その役割を再確認し、将来のために制度を再構築することが重要であると思われる。
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