2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における課題構造の解明と実効性の高い順応的管理の体系化
Project/Area Number |
25630194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
秦 康範 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (70360849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越山 健治 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (40311774)
原田 賢治 静岡大学, 防災総合センター, 准教授 (40378922)
宮崎 毅 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40458485)
庄司 学 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60282836)
林 能成 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (90362300)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 順応的管理 / 東日本大震災 / TOC論理思考プロセス |
Research Abstract |
本研究では,順応的管理の概念を東日本大震災に適用することにより,巨大地震災害に適応した実効性の高い順応的管理を確立することを目的とする. この目的を達成するため平成25年度においては,まず地震被害波及構造を踏まえた地震防災関連分野である,「地震」,「津波」,「インフラ」,「災害対応」,「政治経済」,「復旧復興」の6分野それぞれにおける,東日本大震災により顕在化した各分野内の課題抽出と構造化を進めるための,国内害の文献,書籍等のエビデンス収集,関係者へのヒアリング調査等を各分担者でそれぞれ実施した.また,全体会議を2回開催し,各分野内の課題を共有した. ワーキングで検討するUDE(Undesirable Effect)として,地震学分野における「M9.0の超巨大地震発生を想定できなかった」を取り上げて,理学としての地震学においては「地震発生予測モデルを検証するための十分に長いデータがなかったこと」と,それにも関わらず一方で「その時点ではモデルに矛盾した観測がなかったこと(モデルの妥当性が示されていたこと,そのために盲信してしまったこと)等を構造的にまとめた. また,有識者との意見交換会として,東北地方太平洋沖地震時において,防災担当大臣であった松本龍氏,後の復興担当大臣にインタビューする機会を得た.松本氏からは,地震直後における首相官邸の主に防災に関連する初動対応とその意思決定過程について,復興庁の創設までの経緯について,政治家の立場から政府と行政機能の課題を聴取した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,当初から予定していたとおり,地震被害波及構造を踏まえた地震防災関連分野である,「地震」,「津波」,「インフラ」,「災害対応」,「政治経済」,「復旧復興」の6分野それぞれの分担者それぞれによる,分野内の課題の構造化とエビデンス収集が実施できたため,おおむね順調に進展しているとした. ただし,分野間の課題については十分に掘り下げられなかったことから,次年度の早期に解決すべき課題とする.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,昨年度に地震被害波及構造を踏まえた地震防災関連分野である,「地震」,「津波」,「インフラ」,「災害対応」,「政治経済」,「復旧復興」の6分野のそれぞれで明らかにした課題構造を踏まえて,分担者同士で東日本大震災の広範囲な影響に関する認識の統一を図りつつ,分野間をまたがる課題を明らかにするとともに,未来問題構造ツリーを構築することにより,研究分野全体の課題の構造化とあるべき方向性を探る. 具体的には,共通課題を含む問題の大きい課題(中核問題)を設定し,UDE(Undesirable Effect)を解消する対立解消図を作成する.全体構造を踏まえた分野内の課題の見直しを行い,最終的に未来問題構造と,巨大地震災害に関連する研究分野の順応的管理の体系を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2月から3月に実施を予定していた全体会合が大雪の影響のため実施できなくなった.そのため,次年度に繰り越すこととなった. 26年度の全体会合をできるだけ早期に開催する予定である.
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