2013 Fiscal Year Research-status Report
二重性とマルチスケール相互作用に着目した粒状体の流れのメカニズム解明
Project/Area Number |
25630201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土石流 / 粒状体 / 応力鎖 / 限界状態 / 密度 / 平均配位数 / 河床粗度 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では,粒子間の滑り・回転といったミクロな現象と流れ速度,応力,間隙比といったマクロ挙動とのマルチスケールの相互作用を明らかにするために,複数の粒子が鎖状に連なり力を伝える応力鎖に着目した.流れの内部を可視化する方法を試みた.また,応力鎖の発生・消滅といった粒子群のダイナミクスと流れの中に発生する波動との二重性を考慮して粒状体流れのメカニズムの解明にチャレンジした.さらに,未解明とされる,流れ中の大きな粒子の浮き上がり現象に新たな統一的説明の成功に挑戦した.以下に主な検討内容を示す. ①応力鎖の可視化を試み,応力鎖の三次元像を捉える挑戦的な試みをしたが,水分の量が少ない場合には音響では難しいことが分かった.別の方法を検討している.流れの速度は画像解析(PIV)で求め,流れの速度分布が三層構造になっていることが分かった。個別要素法解析の結果と組み合わせると,表層が早く,粒子衝突が中心であるとこと,中層は限界状態土質力学に従うともっとも密度が高く,粒子接点数も多いこと,下層は大きなせん断ひずみが発生しせん断層のようになり,応力鎖の発生源であり,ゆるくなっていることが分かった. ②固・液相の二相相互作用を考慮した数値解析コードの開発を行い,GPGPUを用い計算の効率化を行った. ③粒状体の流れ・堆積挙動,内部の応力波伝播挙動に及ぼす粒度や粒形,間隙水の有無,河床粗度,傾斜角の影響を検討した.数値解析結果から,流れの中に,スティック-スリップに従う,流れがあることが明らかになった.模型実験と数値解析から,土砂移動の流下・堆積挙動,流れ中に発生する波動は,底面粗度・傾斜角の影響を強く受け,粒子特性の内の粒子形状は粒子間の噛み合わせによる回転抵抗が増加し,応力鎖の安定性に影響することが分かった. ④単体物の衝突時の衝撃力伝播特性に及ぼす,応力波の伝播速度,載荷速度,質量の関係を示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討項目については順調に進んでいる. 実験において,粒状の流れの可視化においては,音響トモグラフィの方法が不飽和帯や乾燥帯では難しいことから,平成26年度では,ほぼ飽和状態で実施するか,別の方法も含め合わせて検討することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
実験において,粒状の流れの可視化においては,音響トモグラフィの方法が不飽和帯や乾燥帯では難しいことから,平成26年度では,ほぼ飽和状態で実施するか,別の方法も含め合わせて検討することとした. 計画については,予定通り, ①大きな粒子の浮き上がり、分級のメカニズムの解明と流れの中の二重性を応力鎖のダイナミクスから解明する。 ②応力鎖のダイナミクスと限界状態の概念を取り入れた流れのモデリングを行う さらに,粒子法などの連続体数値解析に導入し,実験結果との比較などから提案モデルの検証・修正を行う.それらの結果を,砂防分野の被害予測や新対策方法の提案に役立てる方法を考察する. ③また,流れの到達距離や速度,衝突荷重に関する検討を行う.これについては,既に,平成25年度に落石のような単体物が様々なものに衝撃する現象の実験や解析を進めている.
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