2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋波に受動応答する越波低減浮体パネルFORROWの開発
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25630207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川崎 浩司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20304024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浮体パネル / 越波低減工法 / 直立護岸 / 高潮・高波 / 多相流モデル |
Research Abstract |
(1)規則波作用下における浮体パネルの越波低減性能評価 断面2次元造波水路を用いて,浮体パネルの越波低減性能に関する水理実験を行った.実験では,実験水路の規模から模型縮尺を1/20とし,直立護岸前面に越波低減浮体パネルを設置した.浮体パネルの実用化を鑑み,浮体パネルの形状は,厚さ3.0cm,高さ20.0cm,幅68cmの直方体を考え,喫水を10.0cmと設定した.浮体パネルは,潮位または波浪による水位変化に伴い,高さ25.0cmのフレーム内を上下方向に動くことができるようにした.実験方法として,直立護岸のみを設置した場合と直立護岸前面に浮体パネルを設置した場合で水理実験を実施した.波高が安定してからの波を対象に護岸を越えた水塊の重量を測定し,越波量を算定した.浮体パネルの作用波力・波圧特性を把握するために,小型波圧センサーを用いて作用波圧を計測した.浮体パネルの動的挙動の測定については,高精細ビデオカメラで撮影した実験動画を,運動解析ソフトウェアを用いて解析を行った. (2)3次元固気液多相乱流数値モデルDOLPHIN-3Dによる浮体パネルと波の相互作用に関する数値解析と3次元数値流体力学ツールOpenFOAMの適用性 これまで独自に開発してきた3次元固気液多相乱流数値モデルDOLPHIN-3Dに,質量保存型移流計算法,粒子法,dynamic二変数混合乱流モデルを導入した新しい計算モデルを開発・構築した.また,クォータニオンを活かして剛体の回転運動の精度向上を図るとともに,ソースによる造波とエネルギー減衰帯による開境界処理機能を組み合わせた新たな3次元数値波動水槽を構築した.そして,数値計算と水理実験の比較から,DOLPHINの妥当性・有用性を検証した.さらに,3次元数値流体力学ツールOpenFOAMにおける自由表面解析手法の妥当性およびDOLPHIN-3Dとの比較検討も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
規則波波動場を対象とした浮体パネルの越波低減性能について評価するとともに,固気液多相乱流数値モデルDOLPHINの更なる高度化と3次元数値流体力学ツールOpenFOAMの精度検証について作業を進めており,概ね計画どおりに研究を遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)不規則波作用下における浮体パネルの越波低減性能評価 不規則波動場における浮体パネルの越波低減性能を評価する予定である.そして,規則波と不規則波が作用した場合における浮体パネルの挙動特性の違いを明らかにするとともに,実用化に向けての問題点を整理する.ただし,平成26年4月から所属機関が変わり,水理模型実験を実施するのが困難な状況であるため,平成25年度実施した不規則則に関する予備実験を整理しながら,上記について対応する予定である. (2)浮体パネルの越波低減性能の総合評価 浮体パネルの上下運動に関する基本的性質(振幅の増大率と位相遅れ)を理解するために,理論的アプローチとして,浮体パネルに作用する6つの力の動的なつり合い式から運動方程式を誘導し,同方程式を解くことで入射波周期と浮体パネルの固有周期の関係を把握する.また,平成25・26年度に実施した水理模型実験と数値解析の結果も踏まえながら,浮体パネルの越波低減性能を総合評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は3次元固気液多相乱流数値モデルDOLPHIN-3Dに基づく数値波動水槽の開発を目指して研究を進め,また3次元数値流体力学ツールOpenFOAMの適用性についても検討を行ってきた.可視化を含めたデータ解析をさらに行う必要があることから,平成26年度に直接経費を繰り越しすることとした. 上記も含めて,平成26年度は計画どおり研究を遂行する予定である.
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Research Products
(3 results)