2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
陸田 秀実 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80273126)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 津波 / 津波シェルター / 砕波 / 津波力 / 浮体 |
Research Abstract |
本研究では,被災地域の地形・居住環境・企業立地など,各自治体の地域特性を踏まえ,子供からお年寄りまで,無理なく安全に避難することが可能な「浮沈式大型津波シェルター」の技術開発を行うことを目的とした. ①浮沈式大型津波シェルター形状による衝撃圧低減制御に向けた検証試験:陸上に遡上した津波は,流勢が強い場合(高フルード数),運動エネルギーを軽減する形状案を見出す必要がある.また,陸上に遡上した津波特有の衝撃波圧と重複波圧の両者を回避する方策を取る必要がある.ここでは,申請者が開発した数値計算法を用いて,種々の大型津波シェルター形状に作用する流体力と津波挙動を評価し,津波衝撃力の低減・制御効果の高い2~3案を抽出した.その際,没水時および浮体時の双方において,効果があるものを選定した.その後,模型製作を行い,大型波浪水槽による津波実験を行い,衝撃波圧と重複波圧の両者がp/p_0 < 1.5以下となることを実証した.実験は,1/50スケールで行った.高速度ビデオカメラと無線式加速度計によって流体運動とシェルターの運動を計測し,検力計によってシェルターに作用する流体力の計測を行った.その他,波高計,流速計を用いて,津波浸水深と津波流速を計測した. ②津波作用時における浮沈式大型津波シェルターの運動性能に関する研究:項目①で見出された形状案に対して,浮体時のバラスト水の有無によるシェルターの安定性に関わる運動試験を行った.ここでは,各種運動要素として,ヒーブ,ピッチ,サージ運動を計測し,それらの加速度が0.25g以下となることを検証した.また,予備実験では,様々なシェルター形状と係留方法に対して実験を行い,各シェルターの流体力特性と運動特性を把握した.さらに,数値シミュレーションによる最適形状の選定とその実証試験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浮沈式大型津波シェルターの最適形状について,数値シミュレーションによって明らかにし,その流体低減効果および運動性能について,実験による検証を計画通り行った.さらに,新しい係留方法を提案し,衝撃力の緩和にも成功している.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
③ダブルハル構造様式によるシェルターの安定性と耐外力性の評価に関する研究:浮沈式大型津波シェルターには,津波作用時において多くの漂流物が同時に多方向から作用することが想定されるため,抜本的な対策が必要不可欠である.そこで,船舶構造様式の分野で実績のあるダブルハル構造(外壁を2重構造)を作用することによって,漂流物による衝撃圧を緩和する.仮に,最外縁の外壁が漂流物によって破壊されたとしても,構造物としての機能は損なわない工夫を施す.ここでは,耐波性と安全性の向上を目的として,ダブルハル型のシェルター模型を製作し,各種漂流物模型(例えば,木材や車・船)を作用させ,その衝撃力によって最外縁の隔壁が損傷した場合の安定性・安全性を検証する.特に,従来の構造様式(シングルハル)と比較検証し,バラスト水が注入されたダブルハル方式の浮体安定性・耐外力性が50%以上向上することを実証する. ④浮沈式大型津波シェルターの概念・基本設計の指針の提案: 前年度で得られた知見に基づいて,浮沈式大型津波シェルターの概念設計を行う.また,実構造物を建造するための構造強度,流体抵抗,運動性能などについて基本指針を打ち出す.
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Research Products
(6 results)