2013 Fiscal Year Research-status Report
造波風洞水路による高度な越波実験のための風速設定法の確立
Project/Area Number |
25630210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山城 賢 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70336014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上久保 祐志 熊本高等専門学校, 建築社会デザイン工学科, 准教授 (90332105)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 越波 / 水理模型実験 / 風速 / 模型縮尺率 |
Research Abstract |
防波堤や護岸等の海岸構造物は,越波(波が護岸を越えて陸域に流入する災害)する海水量を許容値以下に抑えるように設計され,重要な構造物であるほどその越波防止性能を水理模型実験によって確認することが要求される.しかし,越波を縮尺模型による水理模型実験で検討する際に,風の影響が考慮されることはほとんどない.これは越波の模型実験において,風速に関する適切な相似則がなく,風の影響を定量的に評価できないためである.本研究では,越波の現地観測結果を,波と風を作用させた水理模型実験で再現することで,模型の縮尺比に応じた風速の縮尺率を明らかにし,越波の水理模型実験における風速の設定基準を確立することを目的とする. 平成25年度(初年度)は,まず,国内外においてこれまでに行われた越波の現地観測事例について調査した.これらの事例のうち,水理模型での再現実験で必要となる,海底断面,護岸断面,入射波,潮位,風向風速等の情報が十分に整理されている資料を収集した.次に収集した資料を基に,本年度は消波ブロック被覆護岸を対象に実験ケースを決定し,縮尺模型を作成して断面2次元造波風洞水路により模型縮尺1/45で再現実験を実施した.再現実験において作用風速を増加させると,護岸背後の越波流量の空間分布の勾配が緩やかになる.この越波流量の空間分布を定量的に再現するための風速を調べて,現地風速と実験風速の対応を検討した.その結果,現地での越波流量が大きく風速が比較的小さい場合には,模型実験で風を考慮する必要はなく,逆に,越波流量が比較的少なく風が強い場合には,模型実験で作用させるべき風速も大きくなるというように,現地の越波流量や風速に依存して,模型実験で設定すべき風速が変化することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画において,平成25年度(初年度)は次の内容を計画していた.① 現地観測データの収集,② 実験ケースの選定,③ 模型製作および予備実験,④ 現地観測事例の再現実験. 平成25年度には,消波ブロック被覆護岸を対象に,断面2次元造波風洞水路を用いて波と風を同時に作用させた越波流量の再現実験を行い,現地風速と実験風速の対応について新たな知見を得た.以上のことから,本研究の達成度について,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
越波の水理模型実験において,模型の縮尺比に応じた風速の縮尺率を明らかにし,風速の設定基準を確立するためには,縮尺比が異なる模型を用いた再現実験を行って,現地風速と模型風速の対応を調べる必要がある.平成26年度は異なる模型縮尺比(1/70程度)での模型実験を主体にした検討を行う. 護岸の構造形式の違いが風速の対応に影響すると考えられるため,平成26年度は異なる構造形式を対象とした検討を行う.我が国では,消波ブロック被覆護岸,直立護岸,緩傾斜護岸等が多用されていることから,平成26年度は直立護岸について,越波実験における風速の対応を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた主な理由は,様々な学会やシンポジウム等の場で研究分担者と協議を行える機会があり,研究分担者との打合せ等のために当初計上していた旅費を低く抑えられたためである.これに加え,実験に使用する波高計や実験材料の購入費を抑えることができたことも理由である. 次年度使用額については,平成26年度の研究計画における再現実験のための実験模型の制作材料費として活用する.
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