2013 Fiscal Year Research-status Report
任意形状粒子を用いた混合粒径移動床数値実験水路による河床近傍の力学機構
Project/Area Number |
25630211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
福岡 捷二 中央大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30016472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 龍彦 中央大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00379900)
長田 健吾 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30439559)
福田 朝生 中央大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00709694)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数値移動床水路 / 石礫河川 / 粒度分布 / 粒子形状 / 河床構造 / 河床変動 / 流体力 / 大規模計算 |
Research Abstract |
本研究では,種々の形状の石礫粒子群とその周りの水の三次元運動を解析することが出来る移動床数値実験水路を開発した.このモデルでは,水の運動は,粒子部分を密度の異なる流体として評価し,石礫粒子より小さい流体計算セルを用いて固液混相流場の一流体モデルを用いてオイラー的に非圧縮性流れとして解析される.また,種々の形状の粒子は,小球を隙間が無い様に連結した球体モデルを用い,この粒子の運動を剛体の並進,回転の運動方程式を用いて解析する. 構築した移動床数値実験水路を用いて,移動床の数値実験を実施した.実験結果のアニメーションを作成することで,計測することが困難な河床付近の水と粒子群の三次元運動を視覚的に理解できるようにした. 大きな粒子と小さな粒子の移動軌跡の比較より,大きな粒子は小さな粒子を乗り越え,河床表層を直線的に移動するのに対し,小さな粒子は,河床に露出する大きな粒子が移動の妨げになり,河床の低い位置を蛇行しながら移動していることがわかった.移動・停止時の粒子の向きの考察より,粒子が移動する際は,横断方向に長軸を傾け移動しやすい向きをとり,停止時は長軸を流下方向に傾けることが明かとなり,球とは異なる粒子の平均的な移動形態が明らかとなった. 平成25年度の移動床数値実験では,水深が0.3m程度の比較的小さな水深で射流の移動床実験を実施した.河川の土砂移動を考察する上では,常流の移動床数値実験も必要である.このためには,水深をより大きくした大領域の計算が必要であり,大規模な並列計算が必要である.平成26年度に常流の大規模な移動床数値実験を行うため,MPIによる移動床数値水路の開発に取組み,まず粒子運動の解析については,分散メモリシステムを用いたMPI並列計算が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな課題は,大きく2つに分けられる.1つは,種々の粒子形状の石礫粒子群と水の三次元運動を解析することが出来る移動床数値実験水路の構築である.もう1つは,この移動床数値実験水路を用いて複数の実験を実施し,種々の水理条件,河床材料の条件で,土砂移動機構を考察することである.このうち,1つ目の移動床数値実験水路の構築については初年度で終了した.構築した移動床数値実験水路を用い,移動床の数値実験を実施し,石礫河川の土砂移動機構を考察することが出来た.移動床数値実験水路は大規模な解析となるため,長期の計算時間を要する.このため,2つ目の課題となる種々の水理条件および河床条件の数値実験を実施するためには,計算の高速化が必要である.このためには,複数の計算機を用いたMPIによる大規模並列計算を実施していく必要が有り,MPIに対応したプログラムの開発が必要である.このMPI化については粒子運動の解析と流れの解析の両者について実施する必要がある.初年度では,MPI化がより複雑となる粒子運動の解析部分について,プログラムのMPI化が終了している.そのため,流れの解析のMPI化を実施することにより,複数の計算機を用いたMPI並列計算が可能となり,計算の高速化が期待できる.これにより,2つ目の課題である種々の条件の移動床数値実験の実施が可能となる.これらの成果より,本研究の初年度としては,順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では,MPI化したプログラムにより,分散メモリシステムを用いて計算を高速化し,移動床の数値実験を実施する.平成25年度では,射流の移動床数値実験を実施したが,平成26年度では,常流の条件で移動床の数値実験を実施する.常流の条件で大きな石礫粒子が移動する水理条件とする場合,平成25年度で実施した,射流の移動床数値実験の条件よりも大きな水深が必要となる.平成25年度の移動床数値実験では,15mの長い水路を用いたが,常流の計算で同程度の水路長さの実験を実施することは計算領域が大きく,計算負荷の面で難しい.そのため,常流の移動床数値実験は,上下流端の境界条件に周期境界条件を適用し,水路長さを平成25年度よりも短くした条件で実施する. 移動床数値実験の結果より,河床表層の大きな粒子と小さな粒子から形成される種々の河床構造により,水と粒子群の運動は,大きく異なることが明らかとなっている.河床表層の構造の差によって異なる大きな粒子により生じる遮蔽域および流速分布について明らかにする.粒子に作用する流体力を求め,流体力の評価方法について検討する.粒子の移動・停止時の流体力について明らかにする.また,粒子が移動する際に河床に形成される凹凸から受ける抵抗について明らかにする. 既往の研究で構築した石礫河川の河床変動解析法について,本研究で明らかとなる水と粒子運動の力学機構を踏まえ改善点を検討し,新しい石礫河川の河床変動解析法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移動床数値実験について計算速度を向上させる必要が生じた.そのため,MPIにより複数の計算機を用いた並列計算が必要であり,計算に必要な新たな計算機の購入が必要となった.平成25度にMPIプログラムの開発を行い,開発したプログラムの性能を踏まえ,計算機の要件を把握し,新たに平成26年度に計算機を購入する予定である.平成25年度に想定していた費用の一部を平成26年度に新たに購入する計算機の購入費用に割り当てるように変更した.このため,次年度使用額が生じた. 本研究における数値移動床実験は,計算負荷が非常に大きく,種々の条件で実験を行う場合には,複数の計算機による大規模な並列計算が不可欠である.並列計算に使用する計算機を増やし,計算速度の向上を図るため,平成26年度においては,大型計算機1台を購入予定である.また,大規模な計算結果を保存するためのサーバおよびデータ整理用アプリケーションソフト類の費用,昨年度の研究成果を発表し,研究の進展のために国内外の最新の研究動向の情報を取得するため,学会参加費と旅費の使用を予定している.
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Research Products
(4 results)