2014 Fiscal Year Research-status Report
インビジブルシティ(見えない都市)のプランニング戦略
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25630213
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スマートフォン / 行動変容 / 都市計画手法 / 地域計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
サイバースペース上に展開する見えない都市(インビジブルシティ)と実空間における都市間での競合・協調関係を的確に把握し、両都市をあわせてマネジメントしていくために、初年度の実績に加え、下記の検討を新たに行った。 1)実空間との接点において見え隠れするインビジブルシティを見える化するため、その実空間上への写像を様々な手法で浮き彫りにした。 2)一つは個人がサイバースぺースに投げかける都市の実空間に関わる「つぶやき」を解析し、一方で、個人が実空間からサイバースペースに空間的な刻印を行う「チェックイン」行為を空間分析した。 3)これらの結果、両スペースの間には特徴的な歪みがあることが定量的に確認され、その歪みの特性も対象とする都市によって大きく異なることが実証された。以下にその具体的な内容を詳述する。 4)「つぶやき」分析においては、軽井沢などの観光都市に関するつぶやきは多いものの、個性に欠ける都市ではつぶやきの数そのものが非常に少なかった。また、個人が実際につぶやいている内容に、自治体がPRしようと思っている施策が含まれていない場合も多く、自治体の広報戦略自体を見直す必要があるケースも散見された。 5)熊本のようにチェックインスポットが実際の都心に重なって存在する都市がある反面、春日井のように市街地以外の場所にチェックインスポットが広く分散している都市もあることが判明した。実空間での基盤整備情報も踏まえながら、実空間とサイバー空間の両空間を適切にマネジメントしていく必要性が改めて示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インビジブルシティの見える化方策を方向性の全く異なる「つぶやき」と「チェックイン」という2種類の切り口から解題することができ、その立体的な解析から大きな傾向をほぼ明らかにすることができた。特に後者において空間的な解析を行えたことは収穫であり、都市再生特別措置法などの実空間の都市コンパクト化政策と、インビジブルシティのプランニングをどう連動させる必要があるかについて、一定の知見が得られるまでに分析を進める事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したような、実際の都市とインビジブルシティのプランニングを連動させていく方策を明らかにすることが次の目的となる。具体的には、先に明らかにした両者の間の歪を定量化することを通じ、プランナーや住民の意識の中でその存在を明確に認知し、計画の中に形として反映していくプロセスを加えることが必要となる。また、見えないままインビジブルシティへと様々な機能が移行することのリスクに対しても、あわせて吟味を加える。
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Research Products
(4 results)