2013 Fiscal Year Research-status Report
複合微生物プロセス制御のための遺伝子配列特異的な革新的微生物生育抑制技術の開発
Project/Area Number |
25630222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
幡本 将史 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (20524185)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物 / 16S rRNA / 増殖阻害 / メタン |
Research Abstract |
本研究課題では、アンチセンス技術を応用し、微生物を遺伝子配列特異的に阻害・殺傷することにより最終的に微生物叢をコントロールする技術を開発することを目的として実験を行った。これまでの研究の知見より16S rRNAのmRBS標的のLNAオリゴを用いたin vitroの実験では効果が確認できたが,実際の菌株を用いた本実験では思った成果が見られていななかった.そこで、本実験ではLNA/DNAキメラオリゴを設計しRNA切断反応による阻害効果の実験を行った。実験では、増殖阻害で実績のあるE.coli AS19株を用いて増殖阻害実験を行った。しかしながら実験の結果、最大50μMのオリゴを使用しても阻害効果が見られなかった。阻害効果が得られない原因の1つはLNA/DNAオリゴの細胞膜の透過性にあると考えられたため、ペプチドを付加したLNA/DNAオリゴを用意し同様に実験を繰り返した。その結果、ある程度の阻害効果は確認できたが、peptide-LNA/DNAを溶解させる溶液に使用するDMSO溶液自体の阻害効果との差がはっきりと確認できなかったため、今後より詳細に実験を進める必要がある事がわかった。 より微生物の増殖阻害効果が期待できる標的として機能遺伝子のmRNAが考えられる。本研究ではメタン酸化細菌のメタン酸化遺伝子pmoAのmRNAを標的として阻害実験をおこなった。標的配列はpmoA遺伝子を標的とした既存のDNAプライマーを基本として新規に設計を行い実験に用いた。しかしながら、明確な阻害効果は確認できなかった事から、今後は配列の再設計などを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
LNA/DNAオリゴの細胞膜に対する浸透性の問題から、実際の生菌を用いた実験では、微生物の増殖阻害効果が思うように得られなかった。解決方法として考えられる細胞膜透過ペプチドは非常に高価であるため,安価な他の方法について調査を進めたが、なかなか良い解決策が見いだせなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドを付加したオリゴを用いた16S rRNAを標的としたアンチリボソーム技術では大腸菌の増殖阻害効果がわかっているので、研究実施計画に従って複合微生物系に適用し標的のみが選択的に抑制されることを確認する。複合微生物系への適用段階では、オリゴの標的としている菌以外の微生物が非特異的に阻害をされる、など複合微生物系に特有な問題が生じる事が予想される。そのような問題についても、濃度や添加方法、またはオリゴ自体の修飾など、最適な実験条件を探る。その後に、大腸菌とは全く異なる系統分類群に属する微生物に対しても、複合微生物系において選択的 な抑制・阻害効果があるかどうか確認するため、数種類の微生物を用いて同様に実験を行い確認する。またペプチドは非常に高価であるため,安価な他の方法についても検討を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
想定していたよりも研究の進展が達成できず試薬の購入量が少なくなった。また、より慎重に実験結果を検討するため、高価なペプチド試薬の購入を控えた。研究の進展があまり無かったため、学会参加が少なくなった。以上の事等により当初予定よりも使用額が少なくなった。 次年度は研究をより進めるため、研究補助員を雇用し実験を進める。また、プレートリーダーを利用してハイスループットに最適な条件をスクリーニングするための試薬を追加で購入する。
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