2013 Fiscal Year Research-status Report
パルス波建物内伝播実験に基づく免震建物の最大応答簡易予測式の構築
Project/Area Number |
25630234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 康裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70324704)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 基礎免震 / 擁壁衝突 / 剛性 / 高次モード / 波動伝播 / 最大応答評価 |
Research Abstract |
[パルス波建物内伝播性状確認実験] 擁壁への衝突によって生じたパルス波の建物内伝播性状(高次モードの影響)を確認する実験を行う。まず、上部構造4層の鋼製模型試験体を製作し、振動台実験を行った。基礎免震の免震層にはリニアモーションガイドレールとばね2 本を使用し、振動台と上部鉄板を連結するように取り付ける。衝突材料としては、鋼板、天然ゴムシート、ポリプロピレン等とした。入力波としては、パルス波(Ricker wavelet、正弦波パルス)を用い、比較のために告示波も用いた加振も行った。パルス波加振は変位制御で行い、パルス変位振幅とパルス周期を変化させて、パルス周期による建物内伝播性状を調べた。実験の結果、パルス変位振幅一定の条件下ではパルス周期が短いほど、上部構造の最大応答が増加することを確認した。一方、本研究では、試験体上部構造の一次固有周期よりも長い周期のパルス波に対する応答しか確認できていない。そのため、今後はパルス周期の短いの範囲について解析や実験により追加分析する必要がある。 [感度解析] まず、衝突中の各次振動モード性状把握を目的とし、免震層よりも上の上部構造を等価1自由度系に置換した、2 自由度系せん断型モデルによる解析的検討を行った。次に、建物内での高次モードの寄与を検討するため、多質点系せん断型モデルによる解析を行った。以上の結果、以下の点が明らかとなった。1)衝突中に建物が受ける力(衝突力)は、擁壁部剛性・建物規模などにより著しく変化する。その原因は免震層と上部構造における卓越周期の違い・減衰定数の変化から説明できる。2)擁壁部剛性に関わらず、擁壁への衝突時間は、擁壁に接触している時の1次固有周期の概ね0.5倍になる。3)擁壁部剛性を増大させると、擁壁に接触している時の最高次の固有周期は免震層上部基礎の質量と擁壁部剛性を用いて近似できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、上部構造模型を上部から吊って、免震建物の固有周期を調整して実験を実施する計画であったが、予算の関係上、入力波の周期を変化させて実験を行うこととした。追加実験の必要性はあるものの、平成26年度に実施予定の最大応答評価検証用実験を、一部、実施した形となっている。また、平成26年度に提案予定の最大応答簡易予測法についても、おおよその目処がたっており、当初計画を上回る成果を上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿った形で、平成26年度は実施予定である。ただし、鋼製模型の高さ(層数)を高くした試験体を用いた振動台実験についても、実施の必要性・可能性も含めて追加検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算はほぼ予定額を支出したが、ごく僅かに残額が生じたため、無理に使用することなく次年度に繰り越した。 予算額は、当初計画どおりであり約110万円である。内訳としては、実験消耗品80万円(試験体改造費、計測用消耗品)、旅費20万円(研究成果発表)、論文投稿・搭載料10万円を予定している。
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