2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630256
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Research Institution | DAIICHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
河原 洋子 第一工業大学, 工学部, 准教授 (50618684)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | まちづくり / 高齢化 / 伝統的建造物群保存地区 / ワークショップ / シンポジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず5月に、高齢化について考える住民シンポジウムを開催した。平成25年度に本研究としてワークショップを8回実施した、鹿児島県重要伝統的建造物群保存地区・薩摩川内市入来麓、及び南九州市知覧と出水市出水麓の3つの保存団体の共催とした。場所は入来地区付近の会館とし、主催は研究代表者所属大学とした。プログラムは、基調講演、3地区保存団体代表者による各地区の報告、入来地区ワークショップを補助してきた大学生によるワークショップの報告、及び聴講者を交えた質疑応答・討論等とした。3地区共に高齢化の問題を強く認識するものの、高齢化についての具体的な取り組みは、入来地区ではワークショップが開催されていたが、他の2地区は「特に行っていない」と報告された。約80名の聴講者があり、会場でのアンケート結果によると、約7割が「高齢化について考えるきっかけになった」とした(回収票42の内の31)。 次に7~9月に、これまでに検討したガイドライン素案の修正・再検討を行うワークショップを2回開催した。第9回は、グループワークにより、モデル化された伝統的な住宅の平面図を見ながら高齢期の住まい方について検討した。5人程度の3つのグループに分かれ、「歩行が不自由になる」、「車いすを使用」という歩行状況の変化に応じた居間と寝室の位置を決めた。伝統的建造物に居住するグループとそれ以外における相違点が明らかになった。第10回は、ガイドライン素案を確認した。高齢化に向けた具体的な基準を設けることができなかったため、ガイドラインの内容は、ワークショップで決めたその目的を「保全宣言」等とし、アンケートや議論された内容を整理・記載し、具体的な改修基準は一般的な住環境整備方法を参考にして作成する資料にて示す構成とし、次の段階につなげる意図とした。以降は、ガイドラインの作成と研究成果のまとめ作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「研究計画調書」の「研究計画・方法」で述べたスケジュールに沿って、特に大きな変更なく実施された。平成25年度では、ワークショップに参加する住民の広がりを示せなかったが、平成26年度のシンポジウムでは、発表・会場運営、及び聴講者を総計すると、参加者は100名程度に及んだ。前項の「研究実績の概要」で述べたアンケート結果等より、歴史地区における高齢化についての問題提起をある程度出来たと考える。シンポジウム直後のワークショップ参加者数は倍増した。 このように、歴史地区における高齢化の問題に取り組むまちづくりは着実に遂行され、その問題・課題は明らかになったが、ガイドラインについて討論する最終ワークショップでは平成25年度と同程度の参加者数となり、ガイドラインにおいては具体的な基準を示すことができなかった。よって、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、ワークショップ等の成果及び関連する資料をまとめ、ガイドライン冊子として印刷し、ワークショップ実施地区の全世帯と関係者に配布する。また、これまでの過程を総合し、「高齢化に向けたまちづくりプロセス」としてまとめ研究成果とする。これらにおいては、随時補足調査を実施する。 冊子を配布する時期は当初の計画では平成26年度末であったが、高齢化に向けたまちづくりに資する記述・資料等を多く含めるための検討期間を追加した。冊子の配布は平成27年度の比較的早い時期に可能と考えており、研究期間中における、活動直後の検証や評価の実施を検討している。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、シンポジウム・ワークショップを開催し、ガイドラインを完成させ、冊子としてまとめ配布、及び研究成果の発表を行う予定であったが、ワークショップでは高齢化に向けた具体的な基準を設けることができなかったため、冊子には高齢化に向けたまちづくりに資する記述・資料等を多く含めることし、そのための検討を継続する。冊子の配布、研究成果の発表を平成27年度とし、未使用額を経費に充てることとする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度における使用計画は、ガイドラインの作成・配布、及び研究成果のまとめと発表に係る経費である。打合せや調査のための国内旅費、研究に必要な備品・消耗品の購入、ガイドライン冊子の印刷代(150部程度を予定)、学会誌投稿料等とする。これらの使途内容・積算根拠は「研究計画調書」で述べたとおりである。
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Remarks |
平成25年度末に、それまでに実施してきたワークショップと平成26年5月に開催するシンポジウムの広報のためにWebサイトを開設した。平成26年度は、シンポジウムの報告等について更新した。
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