2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Urban Improvement of Bordeaux in the 18th Century by the Intendant De Tourny
Project/Area Number |
25630258
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土居 義岳 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00227696)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボルドー / 地方長官 / トゥルニ / 大西洋貿易 / 土地投機 / 18世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、18世紀ボルドーのラ・ファサード地区開発事業にかんして、土地購入者リストのなかの有力商人ジャン・ペレに注目し、州立・県立のアーカイブ、文献資料により、ペレが大西洋貿易、商船賃貸経営、官職購入、不動産投機の順番でつぎつぎと職を変えつつ、財産をふやしていった事実をつきとめ、企業家商人としてのジャン・ペレの事業家心性を明らかにした。その分析結果を2016年度日本建築学会大会学術講演『18 世紀ボルドーのファサード整備と「事業家の心性」-- ギエンヌ管区地方長官トゥルニによる都市整備に関する研究 5』として発表し、共同発表者角玲緒那は若手優秀発表賞として表彰された。 それまでのH25-27年度、このラ・ファサード地区開発事業に注目して、現地公立アーカイブにおける土地売買資料、歴史学・建築史学・社会経済学そして現地地方誌における既往研究をひろく収集し、18世紀におけるフランス地方都市の都市開発事業の実態を分析し、同上学会大会において「ギエンヌ管区地方長官トゥルニによる都市整備に関する研究 1-4』として発表していった。 その結果、事業を指揮したギエンヌ管区地方長官トゥルニのエリート官僚としての経歴と地方開発事業とのかかわりかた、派遣された地方での地域勢力との葛藤の構図をあきらかにしつつ、港湾整備かつ住宅地開発事業としてのラ・ファサード地区開発の特性をあきらかにした。さらに同事業にかんする土地売買入札記録をアーカイブにて発見し、それを分析するなかで、落札者はほとんど地域の商人であることをつきとめ、この開発事業が地域商人の財力に依存していたことを明らかにした。その結果をもとに、この18世紀が海外貿易の黄金時代であることとの相関から、商業活動から得られた財が、土地投機に投入された経緯をあきらかにした。
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